モンスターハンター
□狩人達の軌跡〜未来への軌道・リュウノナミダ〜
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プロローグ
どことも知れない闇の中から、高い女の声が聞こえてくる。
「……『男は人間に嫌われてもなお、モンスターと戦いました。人間に少しでもいいから好かれたいと思ったからです。けれど、人間は最後まで彼の気持ちを理解することはできませんでした』」
「またそれを読んでいるのかい?」と男の声が聞こえ、女の傍へやってくる。「もう何十回、何百回と読んできたよね?」
「飽きないのよ、いくら読んでもね」
「ヒトの間では不評だけれどね」
「これの意味を分からない、知ろうとしないからよ。だから、これの意味を知る者が何度もこの世にこの本を出しては、消されることを繰り返している」
「始まりは誰も知らず、彼らの道もまた知らない。ボクらのことも、ってところだね」
「おしゃべりはそこまでにしてもらおうか?」他の二つの声とは違う低い男の声が響く。「この破龍の一族である女に、誰がつく?」
低い男の声と共に、どこからか水のようなものが現れ、女の顔を映す。
「ボクが行くよ」
「そうね。もうすぐあなたの番だし、ちょうどいいわね。契約はちゃんと行いなさいよ?」
「いままでそうしてきたんだ。行わないなんて選択肢は無いよ」
男は小さく笑い、水のようなものに映る女を見下ろす。
「じゃあ、この子――エスター・フェルカネスのところへ行こうかな」
それを最後に、三つの気配が消えた。