ぷらいべーと6

□2
1ページ/1ページ


この人は、この人達はやっぱりすごいと思った。今回絶対見に行きたいとマネージャーにお願いしてスタジアムのライブにお邪魔することになった。みぃちゃんのアイドル姿を生で初めて見た日、マジで圧巻だった。その歌声もダンスも。この人ここに存在するの?って感じで。なんか違う世界から降臨してきてるじゃんってオーラが凄すぎた。そんな彼女をキラキラして見つめるファンの方の表情も凄いもので、かなり自分にも刺激になったというか凄く凄く色々と勉強になったのを覚えてる。こないだのアリーナライブは見に行けなかったから、だからまた勉強のためってこともあって今日はみぃちゃんには連絡入れないでこっそり見に行こうと思った。周りのファンの方にも迷惑かけたら嫌だからキャップ深く被ってたら多分マジで俺が誰かなんてわかんないだろうなって思って用意してもらってた椅子に座っていたら。

「あれ?紫耀やん」

「お!のぞむじゃん!あ、お疲れ様です」

「おー!平野おる!」

隣にやってきたのはジャニーズWESTのメンバーで。慌てて立てば向こうは少しびっくりしたように、けれども笑顔で話しかけてくれた。

「スタジアムすげぇよなー!」

「やばいっすね、これ」

「さすがエイトさんよなー!どんどん走ってくわー!」

ジャニーズWESTは関ジャニの直近の先輩にあたるから、そこから少し昔の関ジャニの話とかも色々聞かせてもらって、あー、いいなってちょっと思った。みぃちゃんの昔をなんかすげぇなんとも言えない顔で話すウエストの表情は、きっとそこの場にいないとわからない記憶があって。俺らジャニーズ、とくに関西にいたジャニーズは耳にはする。野原みぃが東京から関西に1人できて。そこで周りにもスタッフにもいびられながらも活動し続けた伝説的な話を。ある時には舞台の上で野次を入れられたり。スタッフに衣装破かれてたり。後輩らに悪口かけられたり。ジャニーズ同士で意地悪されたり。色んなことされ続けたって聞いた。聞いた時、本気で思った。もしその場に俺がいたらどんだけよかったか。俺が絶対助けてあげたのに。なんとかして昔の彼女を助けること、できなかったか。そんなふうに考えてしまうほど、胸が痛くなる話ばかりだった。そのまま少し談笑さしてもらっていたらセトリが書かれた紙をスタッフさんに頂いて。そこには俺らの曲もあるしバリエーションかなり豊かで。うわ、楽しそうって思っていたらすぐに始まったライブ。

「、、っ、すっげぇ、」

始まってからは本当にもう何も言えないほど圧巻だった。そこにはエンタメがぎゅーっと詰まっていて。ジャニーズの全てがあった。歌うし踊るしでも腹抱えるほど面白いし。どんな時も一瞬たりとも目を離せない。その中で楽しそうに笑って歌う彼女は誰よりも輝いていた。お芝居してるみぃちゃん、テレビで歌ってる彼女しか知らなかったけど。けど実際ライブでのみぃちゃんはすげぇすげぇ楽しそうで。笑った時折涙を流しながらも笑って。ファンの子に笑顔で手を振って。ファンの子も泣いて笑って嬉しそうで。言葉がなくても歓声がなくてもここまで気持ちを伝え合えるのか、なんて。凄い凄い胸が熱くなる時間だった。メドレーになってトロッコで彼女が近づいてきたとき、

「!!」

俺を見て目を丸くしてから。それから優しく笑って手を振ってくれたみぃちゃんにマジでノックアウトだった。これがファンサか、、とファンの気持ちがめちゃくちゃ分かった気がした。これはすげぇ嬉しいわ。

「紫耀の顔みて?」

「あか!!!」

「今のやばいっすね」

「みぃちゃんにファンサ貰えると死ぬほど嬉しいよな!!!」

隣でめちゃくちゃ顔赤いでってのぞむ達には揶揄われてたけどこれは本当にやばい。最後はみぃちゃんの涙にこっちまで号泣して。超派手な花火にも興奮して。暗くなるにつれて周りのペンライトもすげぇ綺麗だし!終わってもう興奮マックスの中、よし帰るかと思って腰を上げればスタッフさんに「皆さんにみぃちゃんが会いたがってますよ」と言われてそのま俺らは楽屋へ案内されることになった。

「来てくれてありがとうーー!」

「「うわ!」」

向こうから俺らを見つけて走ってきたみぃちゃんは、がばっとそのままウエストにまとめて抱きついて。皆は、わ!と笑いながらも嬉しそうにいやいやと笑ってた。後ろで俺は何も言ってないしな、なんて思ってちっさくなっていたら。

「で、紫耀くん!!なんでぇ!?!?」

そのまま今度は俺の腕を掴まれてビクッと肩が上がる。目線をあげればきっとすぐにシャワーを浴びたのか髪がまだ濡れている彼女で。そのままがばっと抱きついてきてくれたみぃちゃんを慌てて受け止める。

「おーおー!びっくりした!笑」

「みぃがびっくりしたよ!!トロッコで見たら紫耀くんいるんだもん!」

「バレると思わなかったからびっくりした」

「え、わかるよー!すぐわかったよ!!でもすっごく嬉しかった!ありがとう!」

彼女から香るのはシャンプーの匂いで。うわこれなんのシャンプーだろ。すげぇいい匂い。それにクラクラとしてきたからこれは危ないとゆっくり体を離せばそこにはすげぇニコニコしてるみぃちゃんがいた。くそ、めちゃくちゃかわいい。

「来てくれるなら連絡くれたらいいのに」

「いやサプライズ?」

「なんでぇ!あ、てかごめん距離バグってた」

「いや大丈夫」

「みぃちゃんそれほんまに他の人らにしてたらメンバーにブチギレられますよ」

「え、なんで?」

コンサート終わりの興奮のまんま多分俺らのとこに来てくれた感があったから、それにいきなり我に返ったのかみぃちゃんがパッと俺から距離を置こうとするから慌てて腕を掴んでしまう。けどのぞむがケタケタ笑いながらもみぃちゃんを制してるから、そっと俺も手を離した。

「どうだった?勉強がてら感想いただけると次に活かすから」

「ええ!そんなん!もうね、、最高っすよ」

「マジでやばかったです!面白すぎました」

「ジャニーズWEST雑に歌ったから文句言う権利あるよ」

「いやいや!歌ってもらえてありがとうございますですよ!ドームも言わせてもらって」

「いやいや、毎回ええじゃないかにお世話になってるんで」

そう言ってニコニコ笑って喋ってたらマネージャーさんが来て、ウエストは次の打ち合わせがある、とかで帰って行った。ちょっとだけ他のメンバーにも顔を出すと足速にみぃちゃんと分かれて楽屋に向かって行ったメンバーに俺も頭を下げていたら「で!?」とみぃちゃんが今度は俺の腕を掴む。

「わ!」

「あ、ごめんね、距離感!」

またスッと手を離したみぃちゃんは「よかったら天下のキンプリさんの感想聞かしてもらってもいい?」なんてニコニコするから。

「天下って笑」

「いや勉強のために、ね?」

「そんな、俺が勉強でしたもん」

「え、ほんと?キンプリとは違うけど」

「いや本当にずーっと飽きなかった!ずーっと面白いし楽しい!みんなが笑顔になれるライブってこういうこと言うんだなーって」

「、」

「初めてきた人も楽しめるし、昔からきてる古いファンも絶対楽しめるし、来た人全員が楽しめるライブってこうやって作るのかってマジで勉強になりました」

「、ふふ、聞いといて、照れる」

「あと、なによりも」

「あ!なになに??ダメ出しでもいいよ?」

「みぃちゃんが可愛かった」

「っ、え」

「みぃちゃんが誰よりも可愛くてキラキラしてた」

「、」

俺の答えが予想外だったのかパチクリと大きな目をさらに大きくして瞬きする彼女が面白くて可愛くてちょっと調子に乗って彼女の頬に手をのせる。

「みぃちゃん最強でした」

「、あのねぇ、おちょくってるでしょ」

「いやガチ」

「、っ、そんなこと、言ってもらえたら、恥ずかしいからっ、」

いつも俺がやられっぱなしだから。こんな風にちょっと赤くなってくれるなんてそんな無い気がして。それがすげぇレアですげぇ嬉しくて。なんなら調子に乗ってみぃちゃんの頬に置いた手で親指でその柔らかい肌を撫でればさらに赤くなっていって。目線を外して恥ずかしがる彼女に、え、やべ、これはやばい、可愛いすぎると思ってた時だった。

「みぃー、マルいわく意見交換という名の反省会するでー」

聞こえてきた声にそっと手を離した。向こうから来た大きな彼は同じくシャワー上がりだろうか髪は濡れていて。タオルを被ったままこっちに来ると俺を見て「お」と眉を上げる。

「お疲れ様です!お邪魔してました」

「見てた見てた、忙しいのにありがとう〜」

「いや勉強になりました!」

「え、ほんま?嘘やろキンプリの勉強にはならんやろ」

「いやたーくんのコンセプトばっちり言ってくれてたよ?それが今嬉しくてね」

「ほんま?それは嬉しいわ、ありがとう」

そう言ってにっこり笑った大倉くんがすげぇ大人ですげぇかっこよくて。何も言えなくてただただ首を横に振るしかできない。

「楽しそうなとこ悪いねんけど、みぃもうちょっとしたら来てな?みんな待ってる」

「あ、ううん!もう行く!紫耀くんごめんね?本当はご飯とか行きたいけど、こんな時だし控えてるの」

「いやいや!忙しいのに呼んでくれてすみません」

「ううん、わたしが会いたかっただけ!本当にありがとう!今度わたしもキンプリお邪魔する!」

「絶対俺のうちわ持ってね」

「わかった!」

「ごめんな、忙しいのにありがとうな」

「うん、それなのにシンデレラガールあんな風に歌って、今度あの謝罪の意味でご飯でも奢るね」

「いやいやあれはマジで笑ったから」

「それに関してはメンバー全員で謝るわごめんな」

「いやいやそんなことないです!笑 最強でした!」

「ごめんねぇ、じゃあまたね!紫耀くん!」

「おつかれー」

「失礼します!」

俺に手を振って2人はそのまま楽屋へと戻っていった。くるりと後ろを向いた2人の背中はすげぇ大きくて、なんかすげぇ遠い存在で。あと帰りながら大倉くんが自分のタオルをみぃちゃんの頭にかけて。2人でケタケタ笑いながら帰っていく様子は2人だけの空間で誰も入れないことなんて見ただけで分かった。今回のライブ中もすげぇ思った。みぃちゃんはメンバーのことすげぇ好きなんだなって。映画中も嬉しそうにメンバーのことを話す姿で感じてたけど、今日改めてあり嬉しそうにメンバーを見る姿で分かったし。けど特に、

(たっちょんとみぃ年々ラブラブ増すよね)

(2人推しが半端ない、、美男美女、、)

(あの2人の世界じゃんね)

近くで聞こえるファンの声に頷くしかできなかった。出てきた時にすぐ思った。お揃いのイヤリング。それにモニターに映るみぃちゃんの首元には彼の名前。2人でよく見つめて笑い合うことも多くて。あー、なんか、すげぇみぃちゃんが遠くに感じて。それでなくてもあのステージの上のみぃちゃんは、本当に俺がいつも触れられる距離にいる彼女なのかって思ったし。あー、あんな人と話すなら俺ももっともっとデカくならないとダメだって感じた。

「、よし、頑張るか、、」

先輩らの背中がでかいから、いつか俺もでかくなれるまで。頑張ろう、そう思って決心した今日のこの気持ちを俺はずっとずっと忘れないと思った。


大きすぎる彼らの背中、


(お待たせです、すみません!)

(何してたーん?)

(シンデレラガールの謝罪)

(え!キンプリきてたん!?)

(平野くん来てくれてたの)

(これはやばいな、、お前訴えられるで)

(告訴される、、??)


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ