ぷらいべーと
□小さな戦士の大きな気持ち
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紅白始まる前に一瞬会えて「頑張ろうね」って話をしてハイタッチだけして。その時は何も言ってなかったのにいざ紅白始まってオープニングの立ち位置につけば、階段挟んで隣に来たみぃちゃんはさっきとは違うめちゃくちゃ綺麗な着物を着てた。マジで二度見したというかしばらく目が離せなくて。
「やば」
「うわ、群抜いて綺麗すぎやろ」
声が出たと同時に隣から聞こえた廉の声。きっと廉も同じことを思っていたんだろう。だってさ、マジでこの会場には色んな女性がいて。みんな素敵なお化粧や髪型してすげぇ綺麗な服も着てるのに。それなのに彼女が視界に入っただけで、一瞬でこの人以外の人にはもう何も感じないほどの衝撃が走る。メンバーで合わせたのか白を基調にした着物は彼女の白い肌がまた一皮際立っていて。デザインも白のレースが所々に散りばめられてたり、編み込んでる髪にも白い花が散りばめられてたり。いつもよりも赤い色で塗られた唇もふっくらしてるし。透明感えぐすぎて語彙力失うわこれは。
「着替えちゃう前に後で写真撮りに行こうや」
「2ショット撮る」
「いやピンもいるなあれは」
廉はきっと何処かで俺を思って言ってくれてるのか。はたまた本気で自分も撮りたいと思って言ってるのかは分かんないけど。けどそう言う廉に笑いながらいつの間にか始まっていた紅白へと視界をむけた。
「あ、すみません、あの、」
「みぃやろ?みぃなお色直し言うて出て行ったで?」
自分たちの番が終わってしばらくはまた出番がないからすぐに廉と2人でみぃちゃんに会いに関ジャニ∞さんたちの楽屋へと向かった。そしたら廊下にいた村上くんに会って。村上くんはニコニコしながら「みんなみぃと写真撮りに来はるからな、うちの姫は人気者やなぁ」なんて言うから。どうやら俺らの考えは皆が思っていたことのようで。「やっぱりみぃちゃんってすげぇすね!」なんて廉が村上くんに返してたら後ろから聞こえた俺らを呼ぶ綺麗な声。
「「っ、」」
「2人ともどうしたの?」
声が出なかったのは廉も一緒やった。さっきはちょっと距離があったけど実際近くで見ればさらに破壊力はえぐくて声が出なくて。先に言葉を発したのは廉だった。
「・・・近くで見れば見るほどやばいっすね」
「ん?なにが?笑」
廉がみぃちゃんに近づいていって。そんな廉にみぃちゃんは楽しそうに笑って。俺がじーっとみぃちゃんを見ている間にあいつはサクッと携帯で写真を撮る(しかもみぃちゃん1人と、一緒に自撮りもしやがって)俺は前で笑ったり廉につっこんだりしてるみぃちゃんがなんか凄い尊くて未だに声が出ない。やばい、気安く声かけれなくて黙ることしかできないんだけど、どうしよう。
「じゃあ後はみぃちゃん綺麗すぎてビビってる紫耀とも写真撮ってあげてくださいね」
「は」
「俺先に失礼します〜!」
そんな俺に痺れを切らしたのかニヤニヤして俺の肩を叩いて先に帰っていった廉に、いやいやと思っていれば「紫耀くん?」と名前を呼ばれて。見ればみぃちゃんが俺の方に歩いてきてて、不思議そうにキョトンとしてるけどその顔がまた可愛すぎるもんだから、思わず顔を隠してしゃがみ込んでしまった。
「はぁー、、」
「え?え?どしたの?」
慌てて同じようにしゃがんでくれたみぃちゃんにチラリと手の隙間から彼女を見るけど、やばい。これ逆に失敗した。さらに近くなった距離にみぃちゃんの甘い匂いがするし。マジでこの人肌綺麗すぎない?ってなるし。てかまつ毛長。目の色素うっす。え、何この人って同じ人間なの?そう思っていたらじーっと見てたのがバレたみたいで「見ないでよそんなに」と肩をペシリと叩かれてしまう。
「・・だって着物着るとか俺聞いてないし」
「・・え、いや、いる?その報告」
「はぁ?いるでしょ。こんな綺麗なみぃちゃん見るには心の準備ないと無理なの死ぬ」
「何それいつも綺麗じゃないみたいな言い方」
俺の言葉にむすっとしたのか頬を膨らませたみぃちゃんが可愛くて思わず笑ってしまえば、さらに膨れさせてしまったみたいで眉間に皺がよった。あ、この顔も好き。
「あはは、かっわいー」
頬をぷすりとさしてやればふくらんでた空気がぷしゅんと抜けて。そんなみぃちゃんが可愛くて可愛くてそのまま頬にそっと手を当てれば彼女の大きな瞳は俺を捉える。
「・・みぃちゃん綺麗すぎ」
「、っ、ありがとう」
「どうしよう。もうみぃちゃんしか見れないぐらい綺麗」
「・・私、廊下で口説かれてるの?」
「うん、口説いてるの」
「、っ、もう、そういうこと簡単に言わないの」
「ははっ、ほっぺ赤いよ〜?」
「え、なに、もう腹立つ紫耀くん」
「ははっ、」
冗談なんかじゃないんだよ、みぃちゃん。本当に俺必死なんだよ、みぃちゃんに。今までの自分の恋愛ってなんなんだろうってぐらい本当に好きな人の前だとなんか目見るだけで涙出そうになるって初めて知った。好きな人のためにかっこよくなりたいって思う力はどんな力よりも大きいことも初めて知った。みぃちゃん、俺はみぃちゃんに出会って初めての気持ちを沢山知ったんだよ。でも今はまだこの関係でいいから。みぃちゃんがだんだんこうして顔赤くしてくれて、ちょっとでも俺でいっぱいいっぱいになってるだけで十分だから。だからもっと俺が堂々と隣に立てるようになったらその時は、俺の気持ち、受け止めてくれたら嬉しい。
「あ、みぃちゃんインスタも勝手に始めたでしょ」
「え?だからいる?その報告」
「いるよ、当たり前じゃん、可愛い写真どうせいっぱいあげるんだから」
「ふふ、何その言い方」
ニコニコ俺の手のひらの中で彼女が笑って。それだけですげぇ幸せで。あー、やばいなって。さっきまで本当はずっと震えていた。怖くて怖くて仕方ない気持ちとか、なんだろ、ああ、きっとこれでここに来るのは最後なんだろうなって思う悲しい気持ちとか、色んな気持ちが交差して。メンバー見るだけで涙出そうになって、自分で決めた道だから後悔はしないけどそれでもやっぱり、
「大丈夫」
いつのまにか思考がどっかにいってたみたいで、ぴしゃりとそれが止まったのは優しい声が俺を引き戻したから。そして今度は自分の頬に感じる優しい感触。ふわりと彼女の優しい笑顔がそこにはあった。
「紫耀くんなら大丈夫、最高の時間になるよ」
「っ、」
「メンバーとただただ楽しい時間を過ごしておいでよ」
「、っ、」
「私もちゃんと見届けてるから」
「、うんっ、」
「何も考えなくていいから、ただ、楽しんでおいで」
「、ん、」
「待ってるからね」
「、ねぇ、みぃちゃん、」
「ん?」
「大好きだよ」
「っ、私も、大好きだよ、紫耀くん」
お互いしゃがみ込んでほっぺ触り合ってこんなこと紅白の関ジャニ∞の楽屋の前でやってるもんだから、頭おかしい奴らって俺のせいでみぃちゃんも思われてるかもしれない。けどそんなこと考えもできなくて。ただただみぃちゃんの優しくて柔らかくてでも強い言葉に俺の気持ちはいつの間にか前を向いていた。もう大丈夫。きっと今日は今までで1番の最高のパフォーマンスになるってそう思ったから。
「ちょっと楽屋前で何いちゃついてんのよ〜」
「あはは、後輩に口説かれてるの章ちゃん」
「えー!ちょっとちょっと!俺らの許可取ってからにしてや!平野くん」
そう言って肩を叩いてくれた安田くんにすみません、と頭を下げれば優しく背中を撫でられた。
「頑張ってな!楽しみにしてるから」
「、ありがとうございますっ、」
「大丈夫やで!みぃにパワーもらったんやろ?」
「、はいっ、」
「うちの子のパワーは強いで!」
「、本当にっ、すげぇーです」
そう言ってくれた安田くんの目が優しくてなんだか泣きそうになった。それからみぃちゃんと写真を撮って楽屋に帰った俺を見てメンバー皆が少し目を丸くしてくるから、なに?って聞けば「すげぇ顔つき変わってるからびっくりしてん」と廉に笑われて。そんな俺と同じように皆が優しく笑ってくれるからまたちょっとだけ泣きそうになったのは俺だけの小さな秘密の気持ち。もう大丈夫。俺は彼女がいれば最強だから。
小さな戦士の大きな気持ち
(公開イチャつきしすぎやろ)
(え?なにが?)
(みぃの距離感こわ!)