店のチャイムが鳴った。
「レオンかな。」
アベルが階段を駆け下りる。
「はい はい はい。」
「さっき、お店閉めませんでした?」
アリアがふとトビーに聞いた。
「あ〜 ドレスが出来たから取りに来るようにお願いしたんだ。」
そういいながらトビーも下りていった。
「アリア・・・ぴ・・ピアノ・・・弾ける?」
「うん。ある程度なら」
「ホント?! さっきの部屋のピアノで弾いてくれる?」
トムがうれしそうに聞く
「いいけど・・・・」
アリアは不思議そうにうなずいた。
トムと二人でアリアがとまる部屋に行きピアノのカバーをとると、
カバー下には真っ白く細工の施されたピアノがあった。
「きれい・・・」
アリアがあまりのピアノの美しさに息を呑んだ
「俺の・・・お母さんの物なんだ」
そう言いながらトムがピアノのふたをそっと開け、いすを引く。
「ありがとう」
アリアがいすに座りそっと鍵盤のうえに手を載せた。
「何がいい?」
「Canonがいいな」
トムが部屋にある机の引き出しから楽譜を取り出しアリアにわたした。
「Canonか・・・いいよ。ちょっと待ってね」
そういってもらった楽譜をピアノにおき音をさらいだす。
トムがピアノの隣にいすを持ってきて座ると
「ひくね」とアリアがトムの方を見た
「うん」トムがうなずくとアリアがピアノを弾き始めると
アリアの弾くピアノの音はお店中に広がった。