記憶のオルゴール

□第4話
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ガチャッ



B組のドアを颯爽と開け中へと入る。
そしてすぐさま自分の席へ。


周りが騒がしかったが、気にする余裕はない。




もうとにかく眠い。
えーと。
今日で何日目だっけ。
3日目?
まだ3日しか経ってないのか。



なのにこんなに眠いのは、きっと学園でひと騒ぎしたことと
さっきまでの地獄のせいだろう。


あのあと終わったお思っていた柳の説教が永遠と続き
気がついたらもう皆が起きる時間でした、みたいな感じだ。
よくあんなに次から次へと言葉が出てくるものだ。

おかげでバレていないかヒヤッとしながら学園に戻った。
もし抜けたことが知れ渡っていたら、大変なことになっただろう。


まったく・・・
何のために此処に来たんだか。




表の俺ならここで元気良く挨拶をする場面だった。
しまったとも思うが、まあいいだろう。

どうしようもなく眠いのに夢の中に
行くことができないのは結構な苦痛だ。






――――・・か・ん・・


―――――・・・ん・



「蜜柑!!」

『うぁ?!』

突然降ってきた声に顔を上げると、目の前には蛍が仁王立ちしていた。

「やっと返事したわね。あなた、今日なんだか変よ?」

まぁ、いつも頭が可笑しいのはたしかだけど。


蛍、そこよけいだから。


『蛍。どうかしたんか?』

「どうかしたじゃないわよ。
挨拶しても返事も返さないし。
・・・蜜柑。あなた何か顔色悪くない?
それに・・・」

怪訝そうにはいた蛍に少しドキっとした。


『勘違いやないん。ほら、うちピンピンしとるで!?』

そういって全身を動かしてみせる。


「でも...」


パンパン

「は〜い。みんな静かに席についてね〜。」


蛍が何か言おうとしたが、鳴海の言動によって遮られた。
蛍さん。舌打ちはやめましょうよ。
舌打ちは。



てか、鳴海いたんだ。
しかもB組の担任だったんだな。



「ん〜。棗くんがまだみたいだねvサボりかなw」


その態とらしい言い方、ムカつくなぁ。



ガチャ・・・


ご本人登場。なのだが...

「棗っ!!」

日向の体には無数の傷跡。そして顔には制御面が取り付けられていた。
見るからに痛々しい姿だ。


「あのあと捕まっちゃったわけだ。彼に。」

「るせぇ。」


あの後ってことは...
さてはレイの奴、八つ当たりしたな。
今日は寝るって言ったのに・・・。



心配する琉架を優しく制し、言い寄ってくるパーマに
容赦のない八つ当たりをして席についた。
もちろん俺の隣だ。



「はーい。皆が揃ったところで、蜜柑ちゃんのパートナーを選びたいと思いま〜す!
選ばれた人は彼女と行動を共にして学園生活のことをイロイロ教えてあげてください!」



はぁ?!
聞いてねーってのそんなこと。


パートナーか。
邪魔だなぁ。



「蜜柑ちゃんのパートナーですが・・・
棗くんで〜す!
それでは僕はこれで〜w」

そう言ったとたん、さっさと出て行った鳴海が此方を見たのを、俺は見逃さなかった。


あんのヒヨっ子。
下手なこと企みやがって。




只でさえ気分が下がっているのに

くそっ

覚えてろよ・・・。







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