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□世界の中心は君だった
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僕が落とした鞄を、彼が拾ってくれたのだ。
誓って言うが、わざとじゃない。僕にそんな度胸はない。

『なあ、あんた俺と同じクラスだよな?名前、なんだっけ』

慌てて名乗ると、彼も名乗り返した。
僕と彼は、その日“友達”になった。
はっきり言うなら、僕はその位置で満足していた。たまに来るメールや思い出したように話しかけられるだけで有頂天にななれた。
ーーーそんな関係が崩れたのは、彼が珍しく僕を探して図書室まで来たときだ。
多分、借りたい本でもあったんだろう。僕の家には彼の好みの本が多くあったから。
でも、僕はその時、図書室の司書の香山先生にキスされていた。
今でもあの瞬間は鮮明に思い出せる。僕を見つけて綻びかけた顔が強張り、みるみるうちに険しくなっていく。
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