ノーマル・カプなし
□不出来な嫁でございますので
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「離婚してください」
死ぬほど退屈な圧勝を収めた戦いから帰ってきた俺を出迎えた嫁の第一声がこれだ。
呆然と嫁を見ると旅行鞄を2つもち、結婚指輪を外して…はず…。
「…俺、が、何をしたと…」
崩れ落ちそうになりつつ嫁に尋ねると嫁は小首を傾げた。
「別にあなたが悪いのではなく、私が不出来な自分に嫌気が差しましたので。勝手で申し訳ないのですが離婚してくれますか」
…わけがわからない…。
嫁への愛情表現が足らなかったのだろうか。出来不出来など関係なく、嫁がいいのだと、伝わっていなかったのだろうか。確かに俺たちは見合い結婚だが、しかも俺が無理やり進めたのに何故か政略結婚扱いされているが、それでも愛の言葉は欠かさなかったし愛情表現は惜しみなかった筈だ。遠征先からも毎日手紙を送って、夜だって可愛く啼いてくれていた。