ノーマル・カプなし

□龍の箱庭
1ページ/3ページ

物心ついた時から、もしかしたらそのずっと前から、僕は龍を飼っている。
彼女は美しく、時に残酷な僕の守護者だった。




  龍 の 箱庭






「朝宮君、今日良かったら一緒に帰らない?」
クラスメートの宮城さんに言われ、僕は首を振る。
「ごめんね。今日も無理なんだ」
宮城さんは、とても親切だ。僕が少し病弱なのを知っていて、いつも支えを申しでてくる。
彼女の親切を断るのは、本当に心苦しい。
でも、僕は1人で帰らないといけないのだ。









「お帰り、今日も山に行くの?」
「うん」
母さんの問いに頷き、裏山に登るための靴に履き替える。
「早めに帰ってきなさいねー」
おっとりとした言葉に手を振って、裏山に続く道を歩きだした。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ