BL

□箱庭
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「なあ、どこに行ってたんだ」
遥斗は、帰ってくるなり自分を問い詰めてきたコイビトに顔だけの微笑を向けた。
「どこにも行ってないよぉ。変な蜜紀。蜜紀が僕を閉じ込めてるんだから、どっか行けるはずないでしょぉ?」
ケタケタケタ、わざとらしい笑い声を上げて、遥斗は蜜紀に言い聞かせる。嫌な顔1つせず、幼子にするような甘ったるいそれで。
「だから、何度も言ってるじゃなぁい、僕はここにいるよぉ?蜜紀が約束さえ守ってくれるなら、ずぅっとねぇ」
またケタケタケタ、と笑って遥斗は蜜紀の腕にカッターを向けた。
少しずつ、刃がめりこんでいく。その感触に蜜紀は甘やかな吐息を吐き出す。
ポタポタと血の玉が滴り落ち、その赤を遥斗は舌で掬いとりながらカッターを外して傷口を広げる。
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