BL

□沈澱
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俺の恋人は綺麗だ。
真夏でも真っ白な手と細い指、柔らかな漆黒の髪、黒曜石のように煌めく瞳、ほんの少し寄せ気味な眉、俺より頭二つ下の身長、剣道をやってるからか真っ直ぐな姿勢。何もかもが綺麗で綺麗で、俺は今まで色々な人間に讃えられてきた自分の容姿に酷く自信がなくなる。
手入れは欠かさないもののどうしても痛んでしまう偽物の金茶の髪(翔大が楽しそうに綺麗だと言うから染めたままだ)、焦げ茶色の瞳(珍しいと翔大が言ったから、目はそのままにしてる)、無駄に伸びた身長(翔大の首を痛ませるなんて!)。何だか、比較するだけで悲しくなってくる。
悲しくなる、と言えば。
俺は翔大が他人と話していても悲しくなる。
特に、俺並みに人が寄ってくる奴と話してると悲しくて悲しくて、すぐにでも相手を引き剥がして眼球をえぐり出したくなってしまう。
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