生きてやる。
□第三話
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「・・・西野空?」
「・・・僕の手が
・・・取れた?」
それは、すごく唐突な光景だった。
台所で水を飲もうとして捻った古臭い蛇口にまとわりついてぶら下がる、腐った肉。
もう原型すらどこにもなくて、腐敗した臭いを撒き散らしてるそれは、だけど間違いなく僕の手だった。
流れっぱなしの水が歪んで見える。
聞こえるはずの水音も聞こえない。何か言ってるはずの星降の声も聞こえない。
ひどく静かだった。
今朝、僕の手はどうなってただろう。
確か、きちんとした形で付いてたように思える。
僕はその手で、顔に包帯を巻いたはずだ。