短編2
□理由
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自分がどうして軽音部に入ったのか、俺はよく知らない。
もちろんやりたかったから始めたんだけど、ならどうしてやりたいと思ったのか、聞かれても答えられないんだから。
ただ、なんとなく俺が軽音部に入ったのは必然だったんじゃないか、と思うことがある。
そしてそれは大抵、霧野さん絡みだ。
俺と霧野さんは、同じ部活じゃない。
どこで知り合ったのかも、正直よく覚えてない。
ただ、初めて霧野さんを見たとき、昔から知ってたような懐かしい気持ちになったから。
だから俺は、ことあるごとにあの人のところに行く。