短編2
□世界で一番
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いつも冷静で、格好良くて、知的で、皆に頼られてて。
だけど誰も見ていないところでは誰よりも弱くて、不安に押しつぶされそうにもなって、それでもそんな事はおくびにも出さずに強い姿で立ち続ける。
「先輩ってずるいですよね。」
「は?」
「みんなの弱いところ知ってるくせに、自分の弱いところは誰にも見せないじゃないですか。
恋人のはずの俺にだって。」
俺は、それが少しだけ不満だった。
辛い瞬間が、ないはずがない。
それは誰だってそうだ。
なのに、誰にも頼らずに進み続ける姿が、頼もしくもあって誇らしくもあって、
少しだけ不満なんだ。