壬生狼と過ごした2217日

□驚愕の事実と現実
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「さぁ、これが最後だ。もう一度だけ聞く。お前は何者だ?」

「だから……何度も言ってるじゃないですか……私は普通の女子大生で、さっきトラックにはねられて、気付いたらここにいたって……」

「さっきからわけのわからねぇことばっかり言いやがって……気でもふれてんのか?…だがお前のその珍妙な格好……ただ者じゃないことだけは確かだろうが!」

「ただ者じゃないって…普通のワンピじゃん……」

「あ?わんぴ…?」


お屋敷の中に入り、ある部屋に通された私は上座に座る3人の男の前に座らされた。
真ん中に座る男は先程"芹沢"と呼ばれていた男。
どかっと胡座をかき、鉄扇を開いたり閉じたりしながら私を見据えている。
"芹沢"の右側にはスラッとした品の良さそうな男。
また、"芹沢"の左側には厳つい顔をした男。
凛とした視線でふむふむと相槌をうっている。
そして…私の隣に立ち、見下しながら尋問のような問い掛けをしてくる歳三と呼ばれた男。
総司と呼ばれた男は襖のすぐそばに立っている。
そのほか数人の男達がこの事態を静かに見守っていた。


「いいか?女だからってこちとら容赦はしねぇ。素直に吐いたほうがてめぇのためだぞ。それにこのからくりの数々はなんだ!!」

「あ、ちょっと…!!」


私の制止する手もむなしく、"歳三"はいつの間にか取り上げた私のバックの中身を目の前にぶちまけた。
ケータイをはじめ、化粧ポーチや常備薬、財布などが散らばる。


「ひどい…」


なんでこんなこと……
素直に…って、私さっきから素直に本当のこと言ってるのに……
どうしたら信じてくれるんだろう……

チラリと"歳三"を見上げる。
相変わらず私には鋭い視線が向けられていたわけで…
私の視線とその鋭い視線が交わった。


「なんだぁ?吐く気になったかぁ?」


酷い江戸訛りを乱暴に扱いながら私に食いついてくる"歳三"。
……こんなときにこんなこと思う私は、本当に救いようのない馬鹿なのかもしれないけど………こいつ、かなりのイケメンだわ////


「…なんだぁ?今度は赤い顔しやがって……」

「いや、してないし////」


て、照れてなんかいないんだからねッ!!
なんて、若干ツンデレなことを考えつつ、私は徐々に痺れてきた足先を後ろ手にそっと摩った。



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