壬生狼と過ごした2217日
□奴はPーBOY
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「そういえばお前のその着物、なんとかしねぇとな」
「え、このままじゃ駄目ですか?」
「駄目に決まってんだろうが!!それともなにか?おめぇはずっと屯所に篭んのか?」
「え、それは嫌。せっかくだから街中見学したいです」
歳さんが一気に杯を傾け、ため息をついた。
「おめぇ…いや、なんでもない」
歳さんはわかりやすい。
大方、私の超ポジションシンキングに呆れてるといったところか。
だって仕方ないじゃない。
せっかくタイムスリッパーに選ばれたんだもの。
いくら歴史に疎い私だって、自分の住んでいる国の過去くらいは見てみたい。
「仕方ねぇ…八木さんに女もんの着物がねぇか聞いてくるか」
そう言って歳さんは「よっ」と立ち上がった。
「トシ!!八木さんになんて言うんだ?まさか未来から女子が来たなんて…」
「言うわけねぇよ。新しく女中を雇ったとでも言やぁいいだろ。ちょっと待ってろ」
ふっと見せた笑顔は酒のせいかとても妖艶に見えた。
…うーん。歳さんはきっとPーBOYだ。
言葉遣いは悪いけどきっと優しい。
この男は今まで何人もの女を啼かせ…いや、間違えた。泣かせてきたに違いない。
こういう男に惚れたら火傷するぜ!と私の本脳が警笛を鳴らした。
あ、PーBOYはプレイボーイって意味ね。
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