壬生狼と過ごした2217日

□垣間見えた優しさ
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***


さて。
午前中の洗濯やら掃除やらの雑用を終えた私は、例の総司くんが書いてくれた地図とにらめっこしていた。

…つーかさ?
地図を見てただけじゃいつまでたっても地理なんか覚えないんじゃないの?




……よし。
幸い歳さんは巡察で今いない。
この地図を見ながら、屯所の近くをくるりと散歩してこよう。
大丈夫!少しくらいならバレないバレない。
私は地図を片手に、そっと屯所を抜け出した。




………のが、ものの数時間ほど前だと思う。
私は今、フラフラと京の街中を歩いていた。

…はい、お約束ですよね。
野村由香、22歳にして初めての迷子です!きゃ////!!

…なんてふざけてる場合ではない。まじでどうしよう。つーかこういう時こそタイムスリップさせてほしい。そしたら数時間前の私を全力で止めるのに。
こんな時、漫画やドラマだったら歳さんあたりが息を切らしながら探しにきてくれて…



「おい!由香っ!」
「と…歳さんっ!!」
「馬鹿野郎っ!!心配したんだぞ!!」
「ごめんなさい…」
「…説教は帰ってからだ。ほら…乗れよ」
「え…////?」
「疲れてんだろ。屯所までおぶってってやる。」
「そんな////!!わ、私、重いし////!!」
「ばーか。お前一人くれぇどうってことねぇよ。ほら、早くしろ」
「歳さん…////ありがとう////」
「…あぁ。」
「……歳さんの背中、あったかい…////」



…なーんちゃってなんちゃって////!!


などと妄想しながらニヤニヤして歩いていると、小さい子供と目が合い号泣されたのはなぜだろう。




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