壬生狼と過ごした2217日

□その男尽忠報国の志を持つ
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「由香!邪魔するぞ!!」


昼食を食べ終え部屋で一人くつろいでいるところに、突然スパン!と襖が開いた。
このオッサンは…


「はぁ…芹沢さん。声もかけずに女の子の部屋を突然開けるなんて…」

「おぉ!由香も一応女だったな!!すまんすまん!!」

「ったく……私が着替え中だったらどうするんですか」

「それはそれで儲けもんだ!」


ははは!と豪快に笑い飛ばした芹沢さんはドカッと畳に腰を下ろした。


「どうしたんです?」

「たまにはお前と二人で飲もうと思ってな!」


芹沢さんは一升徳利と盃を二つ。
それになにやらツマミみたいのを畳に置いた。


「それ……天ぷらですか?」

「ふむ。さすがに知っていたか!大坂は食に充実していてなぁ…土産に穴子を買ってきたんだ!」

「この天ぷらは芹沢さんが?」

「んなわけないだろう!八木さんとこのおっかさんに揚げて貰ったんだよ。ほら、ほかにも茄子やら薩摩芋やら…」


…天ぷらなんて何ヶ月ぶりだろう。
まさかこの時代で食べることができるとは。
油分が全然足りていなかったから、天ぷらのいい匂いに思わずゴクリと喉を鳴らした。

でも…
芹沢さんが私と盃を交わすなんて……
何かウラがあるんだろうか?
はっ…!!もしや酔わせて犯すつもり……


「お前は馬鹿か。俺はお前のような餓鬼には興味がない」

「へ……あ…もしかして芹沢さんて心が読めます?」

「何くだらん事を言っとるんだ。お前の顔を見れば何を考えているかくらいすぐわかる」

「あ…へへへ……」


ヘラリと笑った私を見て、芹沢さんはフッと笑いをこぼすと、まぁ呑めと盃に酒を注いだ。



「んじゃ遠慮なく…」


…こんなところを歳さんに見られたら絶対説教だろうなぁ……
そう思ったが私は迷わずクイッと盃を傾け空にした。
だって天ぷらツマミに酒呑めるなんて最高!


「……あ〜!!うまい!!」

「相変わらずいい呑みっぷりだな。…女にしておくのがもったいねぇよ」

「あはは。それって褒めてるんですか。んじゃ芹沢さんもどうぞ」

「おう!」


なみなみと注いだ芹沢さんの盃は私と同じくあっという間に空になった。
相変わらずの呑みっぷりはお互い様。
そんな私達にとって一升徳利を開けるなんて朝飯前だ。



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