壬生狼と過ごした2217日
□野郎共の出陣
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「歳さん!出陣ってどういう…」
そこまで口にして、私は思わず息を飲んだ。
浅葱色の隊服に身を包み、鉢金を額に巻いた歳さんの姿がとても凛々しく…
そしてとてもかっこよかったから。
隊服姿の歳さんを見たのは今日が初めてではない。
初めてではないのに…
な、なんだ?この胸の高鳴り……
目が離せない…
そこらの俳優より全然イケメンじゃねぇか…
「なんだぁ?口開けた間抜け面しやがって」
「////!!口なんか開いてないもん////!!それより歳さん!出陣ってどういうことですか!?」
不敵の笑みに一瞬怯んだが、なんとか食い下がる。
だって、出陣って…
戦いに……
私、そんな話聞いてなかったもん!
「ちっと野暮用でな。出陣なんてたいそれたもんじゃねぇ。御所の警備だ」
「警備…」
…のわりに、ちらりと中庭にいる隊士たちの様子を見てみると、気分が高揚しているようだった。
じっとトシさんの目を見つめる。
「…んだよ」
「…なんでもない、です」
視線を真っ直ぐに返してくる歳さん。
どうやら嘘ではないようだ。
「つうか、男だらけの屯所でそんな格好してんじゃねぇよ。もうすぐ御所へ向かう。その前におめぇにやってもらいてぇことがあるから、急いで着替えてこい」
「やってもらいたいこと?」
首を傾げた私に歳さんは軽く首を縦に振ると、「早くしろよ」と言って今だ真っ赤な顔をしたはじめくんと共に中庭に行ってしまった。
やってもらいたいことってなんだろう?
頭に疑問が浮かんだが、早くしないと皆が出かけてしまうと思い、私は急いで踵を返したのであった。
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