壬生狼と過ごした2217日

□起爆剤は誰だ?
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「俺みてぇってどんな風だ?」


振り返った先にはやはりお約束の歳さんが立っていて。
腕を組みながら私達を見下ろしたその姿は若干虫の居所が悪いようにも見える。

さぁ私よ…
この場をどう切り抜けるか…


「未来では歳三さんのような人のことやりちん?でしたっけ。そう言うんだそうですよ」

「ちょ、総司くん…!」


あわわ…!!
なに?なんなの総司くん!!
キミは修羅だけじゃなく、無垢の仮面をも被ってるの!?

「え?」と首を傾げ、私に笑いかける総司くんの笑顔が悪魔に見えた。


「やりちん?なんだぁ?そりゃ…」

「いや、あの、その…ね…?」


なんて言っていいかわからず、思わずへらりと笑ってみる。
けど私の笑顔は引き攣ってるに違いない。

ヤリチンの説明…
ましてや噂の張本人に丁寧に説明できるほど、私も脳天気ではない。

なんて言おうか口ごもっていると、歳さんは眉間にしわを寄せ、短くため息をついた。


「あ〜いい、いい。おめぇのその表情見りゃあ、いいことじゃねぇことくれぇ察しがつく」


そう言って歳さんはポンと私の頭に手を乗せた。
いつもより力がこもってるのは気のせいだろうか。


「いや…、別に悪いことでもないんですよ」


いや、悪いことか。
フォローとして思わず口にした言葉に心の中で突っ込みを入れる。
まぁ、歳さんがヤリチンなら私もヤリ…

おっと!思わず口に出そうになったその言葉。
さすがに下品な例えだからぐっととどまった。
うん、自分で認めちゃったらそれはそれで少し悲しい気がする。

あぁ…私ってダメな子だなぁ……
歳さんのことヤリチンとか言えないわ、とつくづく思うのだった。




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