壬生狼と過ごした2217日
□嫉妬のはざま
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身体を重ねたからといって、私と歳さんの関係に何か変化があったわけではなかった。
一応、想いは通じあってる…?のかも今となってはよくわからないが、私自身、歳さんを束縛しようとする気はおきなかったし、それは相手にとっても同じだったようだ。
あ、でも少しだけ。
少しだけ歳さんが私に優しくなったような気がする。
「…おい、てめぇら……昼間から酒たぁ、随分と偉くなったもんだな?あ?」
いや…それは優しくなったと信じたい私の幻想だろうか。
「と、歳さん!」
「ひ、土方さん!」
非番の新八さんに誘われ、部屋でこっそりと盃を交わしていたところ、どこから嗅ぎ付けたのか、今…目の前に立ちはだかっているのは、おでこに青筋浮かべた鬼の形相の歳さんだ。
「二人とも随分ご機嫌だなぁ?」
「と、しさんは随分ご立腹のようで…」
「まぁな…こっちも非番だってぇのに、忙しい思いしてりゃあ…かたや昼間から酒煽ってる奴がいりゃあな」
「ひ、土方さんも呑むか!」
「し、新八さん、歳さんは下戸だから駄目…」
盃を差し出した新八さんを慌てて制止する。
それを聞いた新八さんも「あ!そうだったな、土方さんは下戸…」と口を滑らせた瞬間。
目の前の男の無駄に高いプライドに傷がついたのか、まとっているオーラにさらに威圧感が増した気がした。
「俺は呑めねぇんじゃねぇ!!呑まねぇんだ!!!」
そして次の瞬間には辺りには鬼の怒号が響き渡ったのだった。
…つーか世間ではそれを下戸って言うんだってば。
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