壬生狼と過ごした2217日

□テヘペロは詐欺だと思う
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鬼の副長を保っているつもりなのだろうが、若干顔を赤らめ早足で廊下を歩く歳さんの後をついていく。
どうやらその足は道場へと向かっているらしい。

てっきり…
あのまま抱かれるもんだと思ってた。
私の方はいつでも抱かれる準備はできてるのになぁ…
ちなみに、あれから歳さんには抱かれていない。

しかし歳さん、ヤリチンだけあってさすが上手い。
女が悦ぶツボをわかってるよね、そんなこと考えてると身体が自然と疼いちゃうよね、なんて卑猥な事を考えてる私の前で、歳さんがボソリと呟いた。


「今度から他の男と二人きりで呑むんじゃねぇぞ」


その声はいつもの自信満々の声ではなく、本当に小さな声で。
わざと「え?なんか言いました?」と聞けば「なんでもねぇっ////!」と、あきらかに照れ隠しの声が返ってきたのだった。

なんだなんだ…
本当に素直じゃないよね歳さんは。
なんて上から目線で思いながらも、妬いてくれて嬉しい、なんて思う自分が心の大半をしめていた。

本当に本当に私の事、好きでいてくれるって思っちゃっていいのかな…
自惚れじゃないよね?
てかこんな希代のイケメン、私なんかがいただいてしまっていいのだろうか?
いや、すでにいただいちゃったんだけれども。
もしかして、私はこの人と結ばれるためにタイムスリップなんぞを経験しちゃったのかしら…?なんて、だんだんと想像力のスケールが広がってきちゃってキリがない。
そう思ったところで、前を歩いていた歳さんが道場の前で足を止めた。

道場の中からは「おりゃー!!」だの「うおりゃー!!」だのとにかく男らしい野太い声。


「…新八のやつ……また派手にやってるな」



歳さんは呆れたように。
しかし心底楽しそうに道場の入口を開けたのだった。



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