壬生狼と過ごした2217日

□いつの時代も女の戦いは存在するのだ
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はっきり言って芹沢さんは酒乱だ。

出会ったばかりの頃はそうでもなかったけど、壬生浪士組の存在が京に知れ渡りはじめた頃から、それはなんだか酷くなってきたように思う。
たぶん調子乗ってる…ゲフンゲフン!いや、元来、潜在的にそういう酒乱の”け”があったんだろうけど。

どんどん酒を飲むにつれて、眉間にシワがよってくる。それはもう、歳さんの何倍にも。
他人の些細な冗談や振る舞いにいちいち敏感になる。
そしてそれがくだらないことでも怒りの琴線に触れたりすると、いつも懐に入れている鉄扇を振り回し、物を壊したり、ひどい時にはそれで人を殴ったりするのである。
芹沢さん自身、腕はかなり立つほうだし、一番偉い局長だから誰も文句を言えない。
だから好き勝手暴れることに拍車がかかるんだと思う。

それが屯所内だけとか、内輪だけの場所ならいいのだが、いつも暴れるのは島原。
だから、狭い京の中では「また壬生浪士組の芹沢が暴れた」という話があっというまに広がり、元々いい印象のなかった壬生浪士組は芹沢さんのせいで、ますます京の人々に嫌われもののレッテルを貼られたのであった。
そのため壬生浪士組は、陰口で『壬生浪』と言われているのは、隊士の誰もがすでに知っていることだ。

私の前でも一度だけ暴れた時があった。
止めに入ろうとしたけれど、「芹沢さん…!」と一歩踏み出したと同時に、私の腕は隣にいたはじめくんに思い切り引っ張られ、すぐに背中に匿われたのだけれど。
そんなはじめくんの背中にキュンときたのはまた別の話でして…////

と、とにかく、 普段素面の時はざっくばらんで、いかにも武士らしい豪傑でいい気質の芹沢さんだったが、酔うと手がつけられず皆手をやいているのが事実だ。


そして―…

その酒乱馬鹿が再び私の目の前で今夜、事件を引き起こすこととなったのである。




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