壬生狼と過ごした2217日

□お姉さん、ちょっとショック
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「蒸し暑……」


縁側に腰を下ろしている私の頬を、生温い風がなでつける。

辺りは静寂に包まれ、暗闇が支配している。
まだ行灯が灯っている部屋はいくつかあるが、一つ…また一つとその灯は減ってきていた。

時折、提灯を持った平隊士が私の後ろを「失礼します」と言って通り過ぎていく以外は、まるでここが空の上なんじゃないかと錯覚するほどの静寂の世界だ。





あれから…
皆が屯所に帰ってきたのは、その日の夜遅くのことだった。

近藤さんの話によると、京を追い出された長州藩の一部は、各所で幕府軍と小競り合いをしているらしく、壬生浪士組もちょこちょこと出動するとのこと。

小競り合いとは言っても死人は確実に出る。
それが壬生浪士組の人であれ、長州藩の人であれ、戦争自体に免疫がない私にとって、それはあまり気分のいいこととは思えなかった。


「しかし…眠れぬ……」


時刻は丑の刻くらい。
午前2時を優にまわった頃だろう。

今日は昼過ぎまで寝ちゃったからなぁ…
眠れない、というよりか全然眠くない。

現代にいた頃の私だったら、間違いなくテキトーな男友達に電話して、居酒屋から宅呑み…そしてウフフ〜で朝までばっちこい!な、シチュエーションだっただろう、ゲフンゲフン/////!



…なんとまぁ…軽い人生を送ってきたのか……

でも…この時代でもワンナイトラブなんてたくさんあると思う。
現に、島原なんてのは酒を呑む場と同時に、最終的にはハメてオッケーな所だし。
そしてあの歳三もそこに通う馬鹿な男の一人でもあるんだけどね!!
しかもモテるっていう。


「くそ…ヤリチンめ!!」


誰に言うでもなく、私は空に向かって本人には絶対言えないだろう暴言を吐き出した。


のだが……


「…やりちん?」


運悪く、その暴言は誰かに聞かれてしまったようだ。




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