壬生狼と過ごした2217日
□餓鬼か鬼か
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ふと…
強い視線を感じた。
気のせいではない。
自然な感じを振る舞いながら道場内をそっと見回すと、どうやらその視線の持ち主は新しく入隊した男達のうちの一人だった。
男は私と目が合うと、パッとその視線を逸らしたが、若干慌てていたように見える。
…なんかさ……
あの人達の雰囲気おかしいわ、やっぱ。
間者…、なんだろう。
何を思って何のために。
「由香さん?どうしました?珍しく顔が真剣なような…」
そんな思いにふける顔を楠くんに見られ、心底心配そうな顔をされる。
でも…若干失礼ジャマイカ…?
私だって真剣な顔くらいする。
でも、楠くんは本当に心配そうな顔をしている。
そのかわいらしい顔を見て私の悪戯心に火がついた。
「…ちょ、楠くん気をつけたほうがいいよ。あいつ、さっきから楠くんのこと見てる、ってゆーか見つめてる」
「…え、」
「楠くん、かわいい顔してるんだから本当気をつけてね」
「あ、あの、それって…」
「あいつ、きっと楠くんに一目惚れしたんだよ、絶対」
「何を言って…/////!」
そう言えば楠くんは真っ赤な顔になる。
うぅ…かわゆすぎるぜ!!
私って本当に性格が悪いんだと思う。
ニッコリと笑顔を向け、楠くんにトドメを刺した。
「あ、でも楠くんには広戸さんがいるもんね」
「////!だから違いますって!僕は由香さんみたいな女の人が好…!」
あ、れ?
楠くん、今、私みたいなのが好きって…
思わず「え?」と楠くんを見れば、先程とは比べものにならないくらい真っ赤な顔で、俯き加減に口を一文字にぎゅっと結んでいる。
……勘違いでなければ楠くん、もしかして私のこと…////
そう思ったら、私まで頬がじんわりと赤くなっていくのがわかった。
こ、この場をどうやり過ごそうか…////
なんて考えていると…
「おい。てめぇらピーピーうるせぇぞ」
不機嫌を隠そうともしないあの男の声が背後から聞こえた。
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