壬生狼と過ごした2217日
□偽りのはじまり
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彼等をよく見ていれば…
気付いたかもしれない。
止められたかもしれない。
けれど…
運命は変えられるけど、宿命は変えられない。
これが芹沢さんの宿命だったと言われればそれでおしまい…
「恐らく長州の奴らだろう」
今だ夕べからの雨が降り続く朝。
芹沢さんを壬生寺に運び終えた歳さんは淡々と私に言った。
「そうですか…」と一言だけ呟いたけれど…
きっとそれは嘘。
プイッとそらされた歳さんの瞳がすべてを物語っていた。
この世に…
死んでいい人なんかいるのだろうか。
どんな極悪人だって、世間から弾かれた人だって
その人を愛する人は必ずいるはずだ。
舞落ちる雨は誰の涙か…
芹沢さん…
最期にあなたの瞳に写ったのは…
あなたは最期に何を思いましたか―…
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