小説(自称)
□サイダーガール
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こじんまりした店内で俺は普通のハンバーガー、淳はチーズやらなんやらが乗ってる期間限定のバーガーを頼んだ。
ワックバーガーみたいな洒落っけはないか、昔から来てるせいか我が家みたいで落ち着ける好きな場所だ。
…そんなことより本題。
「でさ、
なんで、お前知ってんの?その、ラ、ラ、ラブ」
「ああ〜ラブレターね!」
「声、でけぇよ!バカ!!」
思わず立ち上がって、淳の頭をぱちーんと殴ってしまった。
逆に目立ってどうするよ、俺。
「ひでぇー。痛てぇー。
どうしても何も下駄箱で、声出して手紙読む声がしたら…聞くよなぁ?ましてやそれが友人の声なら…聞くよなぁ?」
半ば涙目の淳がぼそぼそと理由を話す。
「…。
なんか悪かったな、淳。」
素直に謝ると、にたぁーと音がしそうな笑顔で淳が見つめてくる。
「んふふ。初めてのラブレター嬉しかったんだもんね♪可愛いなーもう。
で、誰よ相手は?」
「わざと恥ずかしくさせるな!
…相手。それが分からねぇんだよ。知らねぇ、つうか。」
「お前が覚えてないだけとかじゃなくて?」
「否定はできないけど
本当に分かんねぇんだよ。それに…。」
「それに?」
(助けてって言われた。なんて話せないよなぁ)
急に黙った俺を不思議そうに淳が見つめた。
「いや、何でもない。」
「何でもって…」
「いやぁー。
俺もモテ男桐生 淳に一歩近づいたかなと。」
淳の話を遮って笑うと、淳も笑って
「…ふっ。先は長いけどな!」
と、まぁ随分失礼なことを言ってくれました。
「ふぅ〜。とりあえず、理由も分かったし、お腹もいっぱいだし、帰るか?」
「そだな!
豊、ごちそうさまでした!またよろしく〜!」
ということで
俺の財布はすっからかんになった。(奢ったってこと!)
「じゃ、また明日な!」
「おう!」
バーガー小北を出て、俺は右に、淳は左に帰った。
また明日も
こんなユルーい。けど楽しい。そんな一日を過ごすんだと思って。