小説(自称)

□サイダーガール
6ページ/16ページ


こじんまりした店内で俺は普通のハンバーガー、淳はチーズやらなんやらが乗ってる期間限定のバーガーを頼んだ。

ワックバーガーみたいな洒落っけはないか、昔から来てるせいか我が家みたいで落ち着ける好きな場所だ。
…そんなことより本題。

「でさ、
なんで、お前知ってんの?その、ラ、ラ、ラブ」

「ああ〜ラブレターね!」
「声、でけぇよ!バカ!!」
思わず立ち上がって、淳の頭をぱちーんと殴ってしまった。
逆に目立ってどうするよ、俺。

「ひでぇー。痛てぇー。
どうしても何も下駄箱で、声出して手紙読む声がしたら…聞くよなぁ?ましてやそれが友人の声なら…聞くよなぁ?」

半ば涙目の淳がぼそぼそと理由を話す。

「…。
なんか悪かったな、淳。」
素直に謝ると、にたぁーと音がしそうな笑顔で淳が見つめてくる。

「んふふ。初めてのラブレター嬉しかったんだもんね♪可愛いなーもう。
で、誰よ相手は?」

「わざと恥ずかしくさせるな!
…相手。それが分からねぇんだよ。知らねぇ、つうか。」


「お前が覚えてないだけとかじゃなくて?」

「否定はできないけど
本当に分かんねぇんだよ。それに…。」


「それに?」

(助けてって言われた。なんて話せないよなぁ)

急に黙った俺を不思議そうに淳が見つめた。

「いや、何でもない。」

「何でもって…」

「いやぁー。
俺もモテ男桐生 淳に一歩近づいたかなと。」

淳の話を遮って笑うと、淳も笑って

「…ふっ。先は長いけどな!」

と、まぁ随分失礼なことを言ってくれました。


「ふぅ〜。とりあえず、理由も分かったし、お腹もいっぱいだし、帰るか?」

「そだな!
豊、ごちそうさまでした!またよろしく〜!」

ということで
俺の財布はすっからかんになった。(奢ったってこと!)


「じゃ、また明日な!」

「おう!」

バーガー小北を出て、俺は右に、淳は左に帰った。

また明日も
こんなユルーい。けど楽しい。そんな一日を過ごすんだと思って。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ