short
□ひるごはん
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千歳の目の前に出されたものはグラタンだった。
こんがりときつね色に焼けている。
見た目は美味しそうだが、禍々しいオーラを放っている。
恐ろしく臭いのだ。
千歳は、早く食べてくれ、と言わんばかりにきらきらした瞳で見てくる白石を裏切ることはできないな、と覚悟を決めようとする。
しかし鼻腔をつく臭いが、危険だと知らせる。
「もー、甘えたさんやな、千歳は!」
白石は、全く手をつけず、ちらちら見てくる千歳を、甘えん坊と勘違いしたそうだ。
そして、向かい側に座る白石は頬を染めながらスプーンを奪い、グラタンを掬い、千歳の口に突っ込んだ。
「んぐっ!ちょっ、ひらいひ!•••んんっ!ぐっ•••、っ•••あ•••」
ばたり。
「えっ!?まさか、失神するほどうまかったん?嬉しいわー!もっと食べ!」
この世のものとは思えない不味さに気絶した千歳を
美味しすぎて気絶したと捉えた白石は
千歳の口に何度もグラタンを突っ込んだ。
――数日後。
「なあ、謙也、最近千歳来ぃへんな。また、サボりかいな。」
「あれ、白石、聞いてへん?
千歳な、いまトイレと布団を行き来することしか出来んくらい、腹壊しとるんやって!
何食べたんやろな?」
「まじか•••」
やっぱり、栄養考えすぎて薬草いれまくるのはだめなんやな、と反省した白石だった。
end.
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あとがき