お題

□夕暮れに虹を見たら
1ページ/1ページ



晴れていたのに雨がふるなんてよくあることだ。
そう、よくあること。
3日ぶりの晴天だった今日の天気は昼を境に一気に雨になってしまった

くっそー、傘もってねぇよ!
本びしゃびしゃだよ!!
さっき買った髪留めもびしょ濡れだよ!!!

今からイヌカシの所にいこうとしたのに…
ん?そうだ、イヌカシのとこで雨宿りさせてもらえばいいんじゃん
そうしよう

雨で少し気分が下がった私は気分を高めるために鼻歌を歌いながらイヌカシのところまで走った。


########


「キサラーーーー!お前びしょ濡れのまま俺ん家にあがんなよなあ!!」


「ごめんごめん!突然雨ふってきたから急いで入んなきゃっておもってさ!」


「だからって廊下一面びしょ濡れにすることないだろ!!!」


イヌカシが怒りながら床をふく。
だってしょうがないじゃないの、と思いつつイヌカシに謝る

お前も拭けよ、風邪ひくぞとイヌカシがタオルを渡してくる

怒りながらもタオルをくれるそんなイヌカシが大好きです。

「イヌカシ、ワンちゃん達がびしょ濡れだけど?」

タオルで自分の体を拭きながらイヌカシの犬たちをみていった

イヌカシがああ、といって立ち上がる


「犬洗いをしていたんだ。今日は久しぶりに晴れてたからな。そうしたら急に雨が降ってきやがって…」

全く嫌な天気だ、とイヌカシが苦笑いする

「すごく晴れていたのにね」

自分の体を拭いていたタオルで犬を拭きながらそう言った

するとイヌカシが驚いた顔で私をみる

「なに」

「いや…キサラが何もねだらずに俺の犬を拭き始めてたから…珍しいなと」


「失礼じゃない?ねえ失礼じゃない?」

私がいつでもねだると思うなよ!こう見えても無償ですることだってあるんだぞ!
あれ、なんか自分でいって悲しくなってきた


「明日はついにこの街が沈むほどの雨がふるのか」

「イヌカシ?この家にある全部の食物を食べてもいいのよ?」

「…わるかったよ」

お前ならやりかねん!とイヌカシが怒る
当たり前じゃない、というと殴られた。

なんでも暴力で解決するの反対ー
体もたないー

とかいいつつ犬を二人でふく

「あ、そうだ。これあげるよイヌカシ」

シュッとイヌカシにむかって投げる
それを見事にキャッチしたイヌカシは首を傾げた

「なにこれ」

「髪留め!さっき買ったの!」

イヌカシに渡したのは小さな石がついた髪留めだった

「すげー…これ…なんか綺麗だ」

イヌカシが感嘆の声をあげる
赤い石がついた髪留めはきらりとひかっていた

「いいでしょ、それ。イヌカシってなんか赤っぽいからさ似合うかなあって思って買ってみたんだ。No.6の流れもので、ちょっと欠けてるんだけど…あと雨に濡れたんだけど…気に入ってくれる?」


「ほっ、本当にいいのか!?」

「もちのろーん」

イヌカシの顔はきらきら輝いていた
すごく嬉しそうだ。

早速髪留めで髪をしばったイヌカシはニコニコと笑いながらありがとうといった


「たまにはキサラもいいことするな!」

「いつもでしょ?」

イヌカシはよほど嬉しかったのか「どう?どう?」と私にみせてくる

「よく似合ってる!」

「へへっ!ありがとな!」


にこっと笑うイヌカシに買ってきてよかったと思った

ふと外をみるとさっきまで降っていた雨が止んでいた
窓から空をのぞくとあるものを発見した

「イヌカシ!晴れてる!外いこ!」

「わっ、ちょっとまてキサラ引っ張るな!」

イヌカシの手を引っ張り外につれだす
それにつられて今まで座っていた犬達も外に大移動した

「みて!空!」

イヌカシを促して空をみあげる


「うわあ…すっげぇ…」



雨あがりの空には大きな夕焼けと、うっすら架かった虹がみえていた











『夕暮れに虹を見たら』

(素直になったイヌカシが最高の笑顔を見せてくれた)




.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ