お題
□「おかえり」が待ってる
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買い物を楽しみ、おつかいを済ませた私が家に帰ってきたのは空が暗くなって月や星が輝きだした頃だった
家に入った私は予想していた通り紫苑に大目玉を食らった
「キサラ?買い物をしに行くのは別にいいけどこんなに遅くなる必要は無いよね?」
「あの…買い物に夢中になっちゃって…そしたら雨がふってきて雨宿りしなくちゃならなくって…」
「言い訳。こんなに遅くなるなんておもわなかったじゃないか」
紫苑が凄い剣幕で怒る
私は正座して紫苑の話を聞く
「すいません…」
「しかも、女の子一人じゃ持てないようなくらいの荷物で」
「はい…後悔してます…」
「遅くなるなら遅くなるって言ってくれればいいじゃないか」
「はい…私のミスです…」
もう、という風に紫苑が腕を組む
「僕がどれだけ心配したと思っているのかわかってる?」
「う…ごめんなさい」
「本当にわかってる?」
「痛いほどに」
目線が痛いの、紫苑の目線が痛いんだよ
帰ってきたとき紫苑は凄くホッとした表情で迎え入れてくれた
その表情をみればどれだけ心配してくれていたか分かる
悪いことしたな…
「…重かっただろ」
紫苑が荷物をみてそう言う
「え?…あ、まあね、でも途中でネズミが来てくれて一緒に持ってくれたから…」
「あ、そうなんだ」
紫苑がよかった、と言って笑う
「ごめんねキサラ。僕がついていってあげれば持ってあげれたのに。おつかいを頼んだのも僕だ。ぼくが行っていればキサラが重いものをもつ必要もなかったんだ」
「え?紫苑は謝らなくていいよ!私が勝手に買い物にいって買ってきたんだし…それにおつかいをしてくるって言ったのは私だし!」
「うん…でもこういう重いのをもつのは男の仕事だからね。」
紫苑が苦笑いをして荷物を持つ
「うわ、本当に重いね」
「紫苑大丈夫?」
立ち上がって紫苑を助けようとするが紫苑に止められた
「…うん、これくらいなら持てる」
紫苑が笑ってそういう
「今度行くときは言って?僕も行くよ」
「え?」
「荷物持ちとしてね。いいでしょ?」
一瞬なんのことかわからなかったけど紫苑が笑うとはっと我にかえった
「も、勿論!」
「ふふっ、さあ、スープを作ろう!これだけ野菜がたくさんあったらきっと豪華なスープがつくれるよ。ネズミが帰ってくる前に作って驚かせよう」
「うん!」
荷物を別の場所に移そうとしていた紫苑が振り返り、あ、そうだと言った
「怒ることが最優先で言うのを忘れていたよ」
「ん?」
紫苑が笑顔でこう言った
「キサラ、お帰りっ」
「…!ただいまっ!」
『「おかえり」が待ってる』
(太陽みたいな紫苑が私を待っていてくれた)
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