日常。
□風邪引き
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『風邪…かなぁ』
「うん…風邪だね。夏風邪?
和名、今日は大人しくしててね」
『分かったわ亜莉子…』
というか騒げる体力は残っていない、
ん、だけど
「カズナ、カゼかい?」
「『チェシャ猫っ』」
何処からやって来たやら猫の首が
和名の枕元に。
「駄目だよチェシャ猫、和名休まなきゃ」
『うつしちゃ悪いし』
「カゼはうつすと治るんだよカズナ」
何処で聞いたのそんなこと。
思わず、チェシャ猫を覗いてしまった。
表情が分からないと云うか、闇しか見えない。
……要は真意がわからない。
「どうしたの、チェシャ猫、和名見つめて」
「カズナ、ここにいていいかい」
な、んてことを、言い出すんだ、この猫は!!!!!!
『バカ、いいわけないでしょっ!てゆか、近い!』
私はひょいと猫首を抱き上げると、
「きゃっ」
亜莉子にパスした。
「カズナ、」
『ごめん、寝かせて』
「わ、わかった。後でご飯、持ってくるから」
パタンと閉じた扉をしばらく見つめて、
私はベッドに潜り込んだ。