第1〜30話

□渉
4ページ/8ページ

西東はミットを手にはめるとブレイドの後ろに座り、構える


友沢「(…速球打ちか……だとしたら、予告無しにスライダーを投げ込まれたらどうなるんだろう)」

瀬戸内「………」


明らかに嫌そうに左打席でバットを構えるブレイド。だがそのバットを持つ両手はしっかりと小刻みにグリップを揺らしていた


友沢「(…試してみるか)」


マウンドでスタンダードなワインドアップモーションから投球に入る友沢。その右腕に握られているボールの球種は…



友沢「フッ…!!」

ビュン…



瀬戸内「………」


ググググ…!!



西東「(ス…スライダー!?ブレイドはストレート以外は打ったこと無はず…しかも友沢のスライダーなんて打てるわけ…)」

瀬戸内「…………」


その時。ブレイドは小刻みに振っていたバットを後部に返し右足を大きく上げ、荷重を左足に集中させた


瀬戸内「…シッ…!!」


大きく上げた左足を地面に叩きつけ、意図的に再び激しい荷重移動を体全体に起こさせ、その手に握っているバットへ力を余すことなく伝える
…そしてバットは内角を攻めてきたスライダーを完璧に捕らえる





ガキィィイイイン!!




友沢「!?」


内角低め…選球眼をフルに使っても捕らえるのは難しいコースだった。
更にそのコースで球種がスライダーの場合は左打者の胸元をえぐるように突き進んでくる。
プロの一流の打者でさえ配球を読んでいたとしても長打どころか、引っ張ってヒットを打つ事すら大変難しいボールだった。
更に今回の場合ブレイドは野球に関しては全くの素人、そして初対決の相手。
まず配球を読んで打つという事は不可能な話だったはず…
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ