総悟受

□死にたがり
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「死にたいでさぁ。生きてる意味がわかんないんでさぁ」


…なんて。悲しい顔して君は呟いた。
俺はなにも言えなくて

ただ、君をみつめていた。


それに返す言葉はすべて偽善的で。あぁ、なんてやくただずなのだろう。なんて


「…殺せ。山崎」
「……は、い?」


窓の外を見据えながら。彼はそう言った。俺が、アナタを好きなのを知りながらそれを言いますか?


そんな事、言いますか?


なのにアナタは。
俺を見つめてもう一度

「…俺を、殺してくれ」


なんて。囁いた。


「…無理、です。」


ボロボロと涙が溢れた。
死にたがりな彼を哀れんだわけじゃない。

俺を置いていこうとする彼が、あまりにも儚くて。美しくて。


俺の涙をみると、彼はゆっくりとちかずいてきた。だけどその瞳は俺をとらえてなくて。


「…ごめん、な。山崎」






その日の夜に。彼は息を引き取った。
自らその細い首を切り裂いた。


…死にたがりの理由はわかってた。
愛し合ってた副長がつい昨日死んでしまったから。


「やめて、くださいよ…隊長」


生きて、ほしかった。
俺のかってな願いだけど。



死にたがりなアナタをとめず救えなかった。


アナタを殺したのは。俺…?



死んでも、俺を縛り付けるんですね。アナタは。


ごめん。の意味がわかった。




<死にたがり>

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