総悟受
□進
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「…土方、さん」
赤い、大きな花束をもって。ひさしぶりに会いに来た。不思議と涙は出なかった。
笑えてるだろうか。俺は
「アンタが死んで。もう3ヶ月たちやした」
この3ヶ月、アンタが生きてたら怒られるような。そんな3ヶ月だった。アンタがいないのを信じられず、ただただぼーっとして生きていた。カレンダーをみると、今日がアンタとの特別な日と言うことに気がついた。
「今日は、ね。言いたいことがあるんです」
アンタが生きてる間に伝えたかった。でも、ムリだから。
「アンタが好きでした」
まっすぐに墓を見据えながらそういった。でも、もう愛しいアンタはいないから。
「…前に、進むことにしやす。…ありがとうごぜぇやした。」
アンタとの思い出も、アンタへの想いも。もう、振り返らない。
「happybirthday」
…誕生日、おめでとう。花束を墓において。ゆっくりその場からはなれた。好きでした。大好きでした。愛してやした。もう、大丈夫。一人でも生きていきやす
「っ」
今頃になって、目頭が熱くなる。涙がボロボロと溢れ出してきた。
「土方の、ばかやろっ…」
おいてきやがって。好きだ。なんて言いやがって。みっともなく大泣きした。
それくらいにアンタがすきだったんだ。
今だけはゆるして。泣かせて。
泣きおわったら前に進むから。
<進>