新八受
□マタアイマショウ
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新八。と、もう目を覚まさない君の名を呼んだ。
白く血の通わない雪のような肌に俺の涙が落ちた。このまま溶けて一緒になれたらいいのに。とか考えた。
最後、新八が死んでしまう瞬間に俺はいなかった。万事屋から病院へ向かってる間に息を引き取った新八は最後に笑ったらしい。
ごめんな。と声がもれた。辛かったよな、苦しかったよな。と頬をなでた。
好きだった。誰よりも何よりも。
涙が止まらなくて。どれ位大切だったのかわかった。
俺はこれから一人きり。
神楽は少し前にあの親父と一緒に出て行った。あぁ、神楽にも知らせなくては。
その日は眠れなかった。ただ、リビングでずぅーっと、ただただ、そこにいた。
なんとなく眠れなくて。
目の前が涙で歪む。情けない。歪んだ世界の中で光り輝くものがあった。なにかとおもうと、ソレはゆっくりと形になって。
気がつけば、涙の向こうに新八がいた。
銀さん。と、悲しげに笑う新八がいて。なんでそんなに泣きそうなんだ?とききたくなった。大丈夫か?と頬にふれる。
銀さん
あぁ、おまえ今ユーレーなのか。
ごめんな。というと、いいえ。と頭を横にふる。儚げに笑うその顔が美しくて。ふれるだけの優しいキスをした。その瞬間。
新八のまわりの光が足元から消え始めた。あ、もうお別れか。なんて
銀さん
少し悲しげに笑う。もう大丈夫だよ、俺は。もう大丈夫。今までありがとう。
<サヨナラは>
<言わない。言えない>
マタアイマショウ