暁スウィートルーム
□紫陽花の君
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それは紫陽花が咲き誇る6月
俺は用があって雨隠れの里に来ていた。
街を少し歩き、リーダーのいる建物へと足を進める。
暫くすると、俺の前に無数の蝶が現れ瞬く間にその姿を変えていった…
「鼬…久しぶりね」
蝶よりも美しい姿に形をかえた紙。
それは、俺の欲望を掻き乱すほどの美麗でこっちを見つめる。
「えぇ、久しぶりです小南さん…」
目を逸らし、自分の欲望を押さえ込む。
「ペインに呼ばれたの…?」
「あぁ」
彼女はうかなそうに俺を見た後、また紙の蝶に戻り姿を消した。
「もう少し見ていたかったな…」
彼女のいなくなった空を、しばらく俺は見つめていた…