仮面
□仮面 -Wilde Aufregung-
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憂鬱な期間がやってきた。
私は重い頭と重い腹部に、殊更ゆっくりと体を動かした。
生理。
月に1度しかないそれは、今まで…そう、のうのうと気楽に生きていた独身の頃だって、身も心も重くなる嫌な存在だった。
でも今は、こうして谷澤さんの妻として生きていかなくてはならなくなった今は。
更に憂鬱で陰惨なものへと加速した。
彼は、生理だとてなんだとて、思うが侭に私を抱く。
出血していようが、生理前で下り物が多い時期であろうが、排卵関係で体調が優れなかろうが…なんだろうが関係ないのだ。
これほどまでに女として必要とされるのは、逆に喜ばしいことかもしれない。
だが、女に対する気遣いという点で考えたら、これほど酷なことをする人間はそうはいないだろう。
月に一度の、憂鬱な1週間ほど。
体調も優れず心理的にも不安定、体に異変だっておこる期間なのだから。
それをも無視して、普段と変わらぬ激しさと執拗さで蹂躙される。
こんな立場に追い遣られた女の悲痛な気持ちなど、それを当然の権利と追い遣った男には、到底分からないのだろうが。
私はのっそりと立ち上がり、リビングの掃除を始めた。
谷澤さんが帰るまでには、まだ十分に時間がある。
今はとにかく家事に専念して、彼の事を忘れたかった。
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頭痛はいつか吐き気に変わり、私はソファーに横になり体を休めていた。
谷澤さんと暮らすようになり……余計に生理が重くなったような気がする。
やはり精神的なものなのだろう。
多分に肉体的なものもあるだろうが………
何もしないでいると、やはり考えてしまうのは谷澤さんのことと、この異常な生活のこと。
私は仕方なしにTVの電源を入れた。