愛DOLL -risky-

□risky 〜序章〜
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「御落胤にまたあの娘が生まれたらしい………生まれながらに赤ん坊らしい顔はしておらんそうだ。恐ろしい…」


「今度はどの家が潰されることか………」


「中国の有名な言葉を借りれば、“傾国の美姫”というらしいな。君主が心を奪われて国を危うくするほどの美人…絶世の美女を言うらしいが…………」

「そんなものではない…あの家は呪われているのだ………あの家に関わるものすべてに災いをもたらすように」


「将軍が寵愛した女だけに止まらず、その子々孫々すらも呪い続ける御台所…夫の愛を奪ったものを未来永劫許さないという女の執念……本当に恐ろしい」


「そういった、もう何百年も昔の因縁が、今もあの家を祟っているのだ………必ず子供は1人しか生まれず、繁栄させないよう細々と生を繋げさせ……時折生まれる女子に恐ろしいほどの美貌を与える。そしてその類稀な容姿によって何もかもを破滅へといざなう…恐ろしき怨念が」


「名だたる大名家が美姫欲しさに争い滅び、その後も名家がいくつも潰れ、金に物言わせた資産家が衰退し…何代か前の総理も、御落胤の娘に入揚げ政界を追われたそうだ」


「関わる者すべてを巻き込み、何もかもを破滅へと導く呪われた血を受け継ぐ娘………所以の分からぬ子孫には哀れなことだが、関われば必ず因果が訪れる。だからこそ関わらないに越したことはないのだ」


「それほどの美貌、見てみたいと思うものではあるが、決して見てはいけない……必ずや心が捕えられ、自然と体も捕りこまれる。代々語り継がれてきた家訓、家督を守り継いでいくために………」





脈々と語り継がれる禁忌。


だがそれを犯しても手に入れようとする男達………


そして繰り返される悪戯な運命。











これは、そんな業を背負った、一人の少女の物語…………………














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