たんぺん2

□DECADENCE
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まだ、やめないでという醜い
悲鳴があの人と私を繋ぎ止め
る、鎖である。


薄汚い雌豚と言われようが、
関係無い。何とでも言えばい
いと、跳ね返すことができる
から。あの人といれること、
その事実が倖せなのだ。それ
がどんなに最低な軌跡を辿っ
てできたものだととしても。



「いつまでそうしてるつもりなの?」
「なにが」
「いつまであの男といるつもり?」



毎度毎度同じことを言われる
から、もう厭きた。女友達は
皆毎回これなのだ。


「離れるつもりは、無いわ」
「どうしてよ」
「どうしてって、好きだから」

愛してるから、と付け足せば、
相手は表情を曇らせて、その
場を去ろうとする私を見てい
た。


「なによ」
「……勝手にしたらいい」
「そうするわ」
「余計なお世話だったみたいだし」


そうねと私が生返事をすれば、
彼女は曇った、しかし強い目
で、私を見据え言った。

「けど、本当に自分に必要かどうか
ちゃんと見極めることも、愛だから」




その言葉がなんだか馬鹿みた
いに聞こえて、私は何も感じ
ずその場を去った。














その数週間後。私はベッドの
中で、あの人が違う女の名前
を呼ぶのを聴いてしまった。




fin

 

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