戦場の女神
□第六章
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「ケイト!」
ロマリーは声を上げた。
アセムとゼハートが視線を移すと、
ケイトが溺れてかけていた。
「「ケイト!」」
「私が、海流に流されそうになって、
ケイトが助けてくれたけど、ケイトが海流に!」
瞳に涙をいっぱい溜めてアセムとゼハートを見る。
「私が助けにいく」
そう言ってゼハートはケイトを助けに海に入るが、
海流に流されているのがアセムにはわかった。
アセムはゼハートとケイトを助けに、二人のもとへ向かった。
「ゼハート! ケイト!」
アセムは叫んだ。
その声に気付いたゼハートは手を伸ばした。
そしてアセムはその手を掴んだ。
そこには、何の打算もなかった。言葉もなかった。
人がすべての欲を超えてわかりあえる黄金の時が、そこにあった。