novelette
□これからは
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最近、カノを見る度に思う
「カノは昔から変わってないっすね」
「そんなことないって！ちょっとは変わったよ」
カノはそう言って笑うけど
軽そうに見えて実はすごく頼りになるところも
からかってばかりだけど本当は誰よりも仲間思いなところも
いつも周囲に気を配って俺達を守ってくれているところも
そして、そういうのを全部包み隠して俺達に気づかせなくするその笑顔も
全っ然、変わってないっす
「あ、でもセトはすごく変わったよね。コミュ障も直ったし、バイトするようになったし。体つきも逞しくなった」
昔はあんなに小さかったのに
そうクスクス笑うもんだから、カノは小さくなったっすね、なんてちょっと意地悪
案の定、ひどい、気にしてるのに、と口を尖らせた
でもやっぱりすぐにいつもの笑顔に戻ってしまう
「キドも変わったよね。家事とかしてくれて、本当頭が上がらないや」
「そうっすね、キドがいなかったら俺達きっと死んでるっすから」
「まあ、怖がりなとことかは変わってないけど」
「一言余計っすよ、また殴られても知らないっすから」
「うわぁ怖い怖い」
口ではそう言ってるものの、顔は笑ったまま
…カノ、言ってることと表情が合ってないっす
いつまでそうやって笑ってるんすか
そんなに俺はまだ頼りないっすか
そんなに弱く見えるっすか
そろそろ俺を対等に、守るべき対象としてじゃなく見て欲しいっす
カノの隣に、立たせて欲しいっす
「どうしたの、セト？」
黙り込んだ俺にカノが笑う
いつでも俺を救い上げてくれた、大好きで大嫌いな笑顔
「カノ、俺は変わったっすよ。もう前みたい弱くて何もできなかった俺じゃないんす。だから、もう、自分のために笑って下さいっす」
そして、俺にその笑顔を守らせて欲しいっす