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以下、お礼文です
CPはセトカノ
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かちゃかちゃ、かちり
ティーカップとスプーンがぶつかり音をたてる。延々と止まないその音に俺は密かに溜め息をついて口を開いた。
「…カノ、それ止めないっすか」
「えー」
不満たっぷり、というよりはどこか投げやりな心ここに在らずといった声。それを発した張本人はティーカップに入ったココアを掻き混ぜながら雑誌に目を通している。
溢したらどうするんすか。
こっちをちらりとも見ないその様子に早くも2回目の溜め息をついて手元のカップに入ったコーヒーを啜った。
「なんで混ぜてるんすか?」
俺の言葉にぴたりとカノは動きを止めた。
「…悪い?」
「いや別に」
会話と呼ぶのも躊躇われる程短いやり取りの後、スプーンが再稼動される。
…結局何なんすかね
疑問をさておいてコーヒーをまた一口。冬の寒さで冷えた体に温かさが染み込む。あれ、そういえばカノ、掻き混ぜてるだけで飲んでないような…あ、もしかして、
「熱くて飲めないんすか?」
びくり、というオプションを付けてカノの動きが止まった。
「あ、図星っすか」
「ち、違!」
必死で弁解しようとしてるけど口は開け閉めされるばかりで肝心の言葉は出てこないまま。
「カノって猫舌だったんすね」
猫に似てるからなのか。なるほど、納得
「君今すごく失礼なこと考えたでしょ!」
ふい、と拗ねたようにそっぽを向いてココアに口をつけた。が、すぐに慌てたようにカップを置く。どうやらまだ熱かったらしい。
「…何にやついてんの。気持ち悪い」
一部始終を眺めてたら顔がにやけてたようで睨まれてしまった。正直、カノの自業自得であり八つ当たられたとしか思えないんだけど。寧ろ衝動のまま抱きしめたりとかしなかった俺を褒めて欲しい。今だってほら、そんな赤く染まった顔で睨まれても、ねえ
「ほんと、かわいいっす」