夏目友人帳

□#1 はじめましてのごあいさつ
1ページ/1ページ

『ピンポーン…』

玄関のチャイムを鳴らす。

「はーい。
 あらぁ、麗華ちゃんじゃないの〜
 待ってたわ〜」

「お久しぶりです、おばさま。
 今日からお世話になります。」

ぺこりと頭を下げる。
この人は藤原塔子さん。
親が居なくなって、行き場のなかった私を助けてくれた人だ。

「麗華ちゃんの部屋は二階に上がったすぐ手前の部屋だからね」

「ありがとうございます。」

靴を脱いで大きなトランクケースを持って階段を上る。

上がるとすぐ右に障子の扉の部屋があった。
覗いてみるとそこには以前私が送った荷物の箱が積み重ねられていた。

トランクをゆっくり下ろすと落ち着いたふいんきに包まれる。

和室というのはいいものだ。
ザ・日本という感じでとても居心地が良い。
コテンっと横になってみると少し柔らかめのある畳がとても気持ちよく、眠りに入ってしまった…。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

「おい。そこの娘。大丈夫か?」

体をぐらぐらと揺らされる。

「んん…っ?」

目を開けるとそこには猫が居た。
招き猫の様な柄の猫…。

??

「しゃ…喋ってる!?」

「まぁ、そんなに驚くな。
 それよりお前、なんか持ってないか?
 今誰もいなくてな」

なるほど、この猫はお腹が減ったのか。

「じゃあ、これでも…」

段ボールの中をごそごそと開ける。
猫に中にあった飴を差しだす

「うむ。
 それよりお前妙な力を持っているな」

「え…??」

どうして分かるの?
確かに私は不思議な力を持っているといってもいい。
妖怪が見えてその力を狙って妖怪たちがいつも襲ってくる。
その力は先祖代々継がれていた力…。

私はそれを猫に全て話した。

「なるほど。お前もか。
 それにその力はおそらく友人帳と同じくらいの価値があるものだろう」

「友人帳?」

「あぁ、話してなかったな」

それから猫は友人帳というものについて全て話してくれた。
私と同じで妖怪が見える’夏目くん’という人についても…

「ニャンコ先生、こんなところに居たのか」

「おうっ!夏目」

え?

「なっ、夏目くん!?」

「え?」

驚いた私と驚く夏目くん。
猫はちょこんと夏目くんの肩に乗ると

「夏目、行くぞ
 娘よ。夏目には私から伝えておくからな。」

「あ、はい」

「それと―――――気をつけろよ?」

え?

夏目くんは猫に押すようにされて部屋を出て行った。

私はこの時あの猫の言った’気をつけろ’の意味をまだよく分かってなかった。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ