魔界王子devils and realist

□第1柱
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『ガランガラン』

鐘が鳴り響く。

俺はこのパブリックスクールに通う生徒だ。

ちなみに俺は自分のことを<俺>と言っているけど本当は<私>であり『女』だ。

『ウイリアムー!』

「ん?あぁ、アンドレアか」

彼はウイリアム・トワイニング、実を言うと俺の兄だ。

だが、俺はいま、わけあって自分の正体を隠しながらウイリアムの傍に居る。

『何を見ているんだ?』

ウイリアムが見ている一枚の紙を俺も覗き込む。

『この前のテストの結果か…1位は…ウイリアムだな』

「当然だ。だがお前も2位で俺と10点差とは、すごいな」

『そうか?』

なぜ俺が妹なのに関わらずここまで点が取れるのかというと兄に付いていくために必死に勉強したからだ。

「おめでとう!二人とも!」

声の主の方へ振り返るとそこにはアイザックがいた。赤毛の彼は俺とウイリアムの友人の一人だ。

「アイザック
 …
 別に当然の結果だ。
 この程度でビビッていてどうする」

「相変わらず余裕だね、君は。
 そのうちアンドレアに抜いてほしいとも思うよ」

残念ながらそれは出来ない。
俺はウイリアムが俺に勝てるように俺は最低限にまで点を自分で落としているからだ。

「まぁもう俺の華麗なるエリート日記は埋まっているんだ」

エリート日記…ね。

「でも、礼拝中に寝ていただろ!」

礼拝、神が居るのか気になってくる。

「下らん、居もしない神に祈って何の得がある」

同感だ

「何言ってるのさ!神様は居るに決まっているだろ!」

『いや、まぁアイザックはオカルト趣味だから居ると思ってても…』

「いや!神様はいるよ!それに天使や悪魔、トロールやエルフだってみんなみんな存在する…」

「今回もトワイニングが一位かー」

「すっげえよな、流石名門貴族様ってか」

まただ。
またウイリアムを否定するような言葉がかぶせられる。

『っ―――!!』

非力な俺は怒ることも殴ることもできない。

「……そういえばウイリアム…例の件は…?」

「言うな
 明日から長期休暇だからな、一度家にかえる」

あ、そうだ俺も家に帰らないといけないんだ。
俺とウイリアムは同じ兄妹だからもちろん俺もバートンの叔父に払ってもらっているわけだ。
ウイリアムは知らないけど。

(とりあえずバレないように家に帰ってケビンに聞きださないと…)

――――――――――――――――――――――――――――――――――

『ぜえっ…はあっ…』

やっとの思いで家に着く。

『っ…とりあえずケビンは…?』

「坊ちゃん?いつお帰りに?」

屋敷の近くでこえがする。

「迎えに来てくれたっていいじゃないか!」

『!!?』

しまった
ウイリアムに先を越されたか…

まぁ仕方ない。
隠れながらなんとか事情を聴ききだすか。

「実は…に…まして…」

良く聞こえない。

しかしつぎの瞬間ウイリアムが叫びようやくその意味を理解した。

「破産!!?」

驚いた
破産なんて

「幸いこのお屋敷だけはのこりました」

なるほど
つまりうちは金がなくなったって訳か

で、使用人たちも居なくなったと

「って…早く学費の足しになるものをさがさないと!」

確かにそうだ!
俺も急がなくては!
 

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