リクエスト小説

□春風様リクエスト
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「長かったぜこのひと月…」

クラスの男子、中目黒が言う。

「いくぞ!!」

迫力いっぱいで、言って来る。

「来い!」

それに負けじと、良守も言う。

ジャンケン…

ホイ!!

「よっしゃーコーヒー牛乳ゲット!!」

中目黒が、両手を上げて喜ぶ。

周りの野次馬が歓声を上げる。

「やったな中目黒!」

「おめでとう!」

中目黒には、称賛の言葉がかけられる。

一方、良守はと言えば…両手を地につき、ガックリと項垂れている。

「でもさー。俺も市ヶ谷もお前に、シャー芯五本賭けてたんだぜ?」

田端が慰めになるのかならないのかよくわからない言葉をかけている。

「ちくしょー!次は負けねえからな!!」

がばりと起き上り良守が言う。

それに中目黒は、

「おう。受けて立つぜ!!」

そう言いながら、コーヒー牛乳片手に胸を張る。

「ちくしょー。来月こそ!!」

そう言いながら、教室の机で寝始める良守だった。





キーンコーンカーンコーン。
   キーンコーンカーンコーン。

「よーし。授業始めるぞー」

五時間目は国語で黒須の授業であった。

ピキーン!

「んっ!」

パチッ

「おー墨村。今日は授業受ける気になったのか?」

あははははは

皆が笑うが、良守は苦笑い。

(これは、邪気!?何で昼なのに!?)

「先生トイレ行っていいですか?」

「何だトイレか。そんなの休み時間の内に行っておけよ。昼休みだったんだし。まあいい。行って来い」

呆れたように言う黒須。

「はい。じゃあ行っ…」

パリーンッ!

「なんだ!?」

窓ガラスが割れて散乱する。

「なっ!」

窓ガラスの方を振り返ると、人型の妖が居る。腰には刀が刺さっていた。

「此処に居る、結界師ってどいつ?」

その妖が話す。昼間活動できることから、かなり高等な妖という事が分かる。

(どうする?結界師ってバラしてもいいのか?)

「なんだよ。結界師って!」

「ていうか誰だよおまえ!」

一人が話し掛けたのを見て、次々に話しかけるクラスメイト。

(見えるのか?それだけすごい妖なのか…)

「どなたですか?用があるのならば、職員室へ行って下さい」

窓から入って来た人にそう言うのはどうかと思うが、黒須が言った。

「きゃあっ!」

窓際に立っていた、男が一瞬で廊下側の神田に手を置きながら言う。

「此処は良いや。やわらかい肉の人間がたくさんいる。」

そう言うと、その妖はその神田の頬を舐める。

「ひっ…」

恐怖で縮みあがる神田。

「おい。やめろ。警察に連絡するぞ」

「警察?なんだぁそれ?」

ヒッヒッヒッ

と、バカにした様に笑いながら言う。

「おい。おまえ、ここから出て行け」

良守が、言う。

(被害が出ないうちに、外に出さないと…)

「墨村。ここは、俺に任せろ」

そう言って、黒須が妖にもう一度向き直ろうとした瞬間、黒須の右腕の部分が薄く切れる。

「っ!」

切れた部分を押さえて、黒須が顔をしかめる。

「先生!!」

良守が、黒須に駆け寄る。

「墨村。大丈夫だから下がってろ」

そう言って、良守をかばうように立つ。

「おー切れる切れる。掠っただけなのに、やわだな〜。じゃあ、こんなのはどうかな?」

ヒヒッと気味悪い笑い声を上げながら、刀を振るう。

そうすると、刀が通った所に尖った塊が出る。

「今すぐこっから出てけ!!」

黒須の前に出て、指を構えながら言う。

「墨村!」

「大丈夫だから、少し黙ってて」

昼食の時に、コーヒー牛乳をかけてジャンケンしてた奴とはとても思えないぐらい真剣な顔。

「あんたが、ここの結界師?」

「ああ」

「じゃあ、正統継承者にあるという方印を見せてくれよ。」

良守は、右手の包帯を解いていく。

そして、前に出す。

手のひらの中央に四角い方印。

「どうやら本物みたいだな」

ざわつく教室。

「さっさと出てけ!」

大声を上げる良守。その声の大きさと、普段昼寝ばかりしている良守が真剣な表情をしている事に、静まり返る。

「そう言う訳にもいかないんだよね〜。俺は、結界師を倒してこの俺が強い事をもっとしらしめるんだ」

そう言って、刀を振る。そうすると、さっき出した尖った塊が飛ぶ。

「なっ!」

尖った塊が、クラスメイトに向けて飛んでいく。

「結ッ!結ッ!結ッ!」

懸命に防ごうとクラスメイトに結界を張るが、二、三個通り抜けられてクラスメイトの方に飛んでしまう。

その一方は、良守が駆け付け庇う。

「ッ!」

少し腕を掠るが、そんな事を気にしてはいられない。

尖った塊が飛んで行った、もう一方の方を見てみると、クラスメイトの神田の足を掠ったらしく手で押さえていて、アヤノやキョウコが大丈夫?など言っている。

しかし、もうそんな言葉は良守の耳には入っていない。

(くそっ!また誰かがこの地で傷つく!!そんなのは嫌だ!!)
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