リクエスト小説
□楪様リクエスト
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「眠い……」
「墨村が眠いのはいつもの事だろ」
はあ。と呆れて溜息をつく烏森のデータバンク田端は、しかし感心したように言う。
「でも、よくこんな山道で寝ながら歩いてこけないな」
「フフフ。鍛錬の差だ」
それに、良守は眠気で若干ハイになりながら言った。
さて、なぜこんな山道を歩いているかだが、その理由はこんなだった。
黒須先生が、「やっぱ、夏は肝試しだろ!」と修学旅行のしおりに肝試しを入れて、その黒須先生が見つけて来た肝試し場所がここ、山なのである。
「にしても足場が悪いな」
眼鏡をくいっとあげながら言うのは良守の前の席の市ヶ谷。
「んー?そうかー?」
その横を、良守が寝ながら歩く。
「お前は、すごいんだかすごくないんだか。」
まったく。と、こちらも田端同様呆れ気味だ。
「おい。墨村起きろよ!ここすごいんだぞ」
ぱらぱらとデータバンク帳をめくりながら田端が言う。
しばらくすると、目的の場所を見つけたのか此方に見せてくると、
「悠倥森。数百年前から、度々魔物が暴れる事から数十年前にこの森のどこかに封印した。今も何処かに居て今か今かと封印を抜け出すチャンスを伺っている……なっ!すごいだろ」
「ぐぅ」
「寝るな!」
田端の話に飽きて寝ていた良守がスパーンと殴られる。
「痛」
「まったく、墨村は……市ヶ谷すごいだろ!」
「あ、ああそうだな」
曖昧に市ヶ谷が返事をしていると、ガサッと葉がこすれる音がした。