書庫・WA
□しかく
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たくさんあっても『このカメラ』はラストだからやっぱり悩むのだと、時任は拗ねた様に語る。
この部屋を駆け回りながら、意外と本人なりに色々と考えてシャッターを切っていたんだなぁと思い、久保田は隣で結論を待った。
「あ…。俺ら、撮ってねぇし」
「今撮ってなかった?」
「俺自分撮りしたし、さっき久保ちゃん撮ったけど2人で撮ってねぇもん」
随分カメラと縁遠かった上、男2人でゲーセンのプリクラコーナーは近寄り難い状況だったりして、ツーショットはおろか写真すら無い。
「…なら、撮ろうか」
「おう!セルフタイマー…は、ついてねぇもんなぁ。やっぱ勘で自分撮りすっか!」
時任が謎の気合いを込めて腕を伸ばし、カメラをこちらに向けた。
見つめたレンズがキラリと光るが、なかなかシャッターは押されないので視線を隣に向ける。
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