書庫・WA

□しかく
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「そうだ、久保ちゃんパス!」
不意に手渡されたカメラ。
久保ちゃんが撮れと言われて内心どころじゃなく戸惑う。

「…良いの?」
「写真撮んのに免許なんか要るのか?聞いたコトねぇぞ」
だから撮れと繰り返された。

時任の言う免許は要らないだろうけど。
その強い言葉と眼差しで、どこかに大きな判子が捺された様な気分になる。
ソレが色濃いうちにキメようか。

「撮るよ〜」
「了解!……っな!?キッ…」
真横の死角から距離を詰めて、耳元に口付けた瞬間シャッターを切った。

「モロ変顔したじゃねぇかぁぁ〜久保ちゃんニヤニヤすんな!!!!」
「ははっ、色々と頂きました。現像が楽しみだぁね」

フィルム焼き切れろなんて恐ろしいことを言うもんだから、カメラの厳重保管が決定した6月1日――――


END

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