書庫・WA

□ほっと一息
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「あン時も飲んどけば良かったな…。」

ハッとして視線をやる。

早くもトーストを食べきり、マグカップを握り締めた時任がしみじみ呟く。
あまりにタイミングが合ったから、俺の思考が読めたのかと思った。

「まぁ…あの時は、あの時っしょ――」

自分の脳内は棚に上げ、トーストのかけらと残りのスープを胃へ落とし込んだ。

同じくグイッと飲み干した時任の満ち足りた溜め息を合図に、俺もベッドへ戻る。


「時任」
「くぼちゃ…んッ、あっ――」

口端のパン屑を絡め取った舌を、今度は時任のそれに絡めた。


パンとスープと…それから、時任の味。

「ふっ…ごちそうさま」
「――ッもう寝るぞ久保ちゃん!!」

照れ隠しの肘鉄にも負けず抱き締めた身体は、じんわりと暖かかい。

今日はクルトンみたいに沈んで逝こうね、時任――


END

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