書庫・WA
□しかく
1ページ/5ページ
「時任〜、太陽は見ちゃダメだからね」
「わかってるって!」
パシャリ…ジッジッ――
パシャリ。
景色が切り取られていく音が響く。
今ベランダで時任が手にしているのは、ちょっとした福引きで時任本人が引き当てたカメラ。
「おぉ!おもしれぇ形…」
「雲か、どんな?」
「ん、中華鍋。チャーハン食いたくなってきた!」
「…ふつうの方だったのね」
ちなみに使い切りタイプのやつで、24枚撮り4個セットなんていう仕様だったのを考えると十中八九、店の売れ残りだろう。
当人は多分そんな事など気にせず撮っては巻いて、また撮ってを繰り返している。
このペースではすぐに撮り切ってしまうだろうから、某山みたいな名前のお店の売上に貢献することになりそうだ。
「くそ!今のぜってぇズレた。逃げんなよなハト…」
賑やかな独り言を聞きながら、久保田はセッタの煙をゆっくりと吐き出した。
→