書庫・WA

□しかく
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「時任〜、太陽は見ちゃダメだからね」
「わかってるって!」

パシャリ…ジッジッ――

パシャリ。
景色が切り取られていく音が響く。

今ベランダで時任が手にしているのは、ちょっとした福引きで時任本人が引き当てたカメラ。


「おぉ!おもしれぇ形…」
「雲か、どんな?」
「ん、中華鍋。チャーハン食いたくなってきた!」

「…ふつうの方だったのね」


ちなみに使い切りタイプのやつで、24枚撮り4個セットなんていう仕様だったのを考えると十中八九、店の売れ残りだろう。


当人は多分そんな事など気にせず撮っては巻いて、また撮ってを繰り返している。

このペースではすぐに撮り切ってしまうだろうから、某山みたいな名前のお店の売上に貢献することになりそうだ。

「くそ!今のぜってぇズレた。逃げんなよなハト…」


賑やかな独り言を聞きながら、久保田はセッタの煙をゆっくりと吐き出した。



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