うたプリ
□トキヤ誕生日SS
1ページ/1ページ
いつもは怠惰で何一つ気が回らない彼女が、今日は少し私に尽くしてくれている気がするのは何故でしょうか。少し気が利くといいますか。実質そこまで必要性を感じない行動ばかりですが。
「トキヤ、ガムいる?」
「え・・・えぇ・・・・ありがとうございます。」
差し出されたチューインガムをぎこちなく受け取り『後で頂きます。』と言い鞄の中にしまう。
何なんでしょうか。何か企みでもあるのでしょうか。
変な気分です。物凄く些細な優しさでも敏感に感じ取ってしまうなまえの行動は、普段本当になまえが私にこんな些細な事でも気を利かせる事が無いんだなと思わされ少々呆れてしまいます。
「はい、どうぞ。」
差し出されたのは淹れたてのお茶でした。
どうしましょう。さっきよりも少しまともに気が利くようになってきました。変な物でも食べたのか、はたまた病気か・・・。とても心配になってきます。とりあえず折角の厚意を断る事は出来ません。さっきのガムだって、なまえではない誰かであった場合大方断る事は多いでしょう。唐突に言われたからと言うのもありますが、なまえから気の利いた言葉何てまさか出るとは思えなくてガムでも無意識に頷いてしまいます。・・・もしや、毒でも入っているのでは!?
「トキヤ?」
いけません。ついつい我を忘れてしまいます。
「すみません。頂きます。」
なまえは笑顔でお茶を私に差し出すと、何故かジッと私を見詰めてきます。一口飲むと彼女は『どう?』と私に尋ねてきたので『美味しいです。』と答えると『そっか。』と言い微笑みました。
悪事を働いていないのは確かですが、一体何故彼女は急に気が利くようになったのでしょうか。先ほどから本当に不思議で仕方がありません。
「さっきから見てたら、トキヤばっかずるくな〜い?俺にも優しくしてよ〜なまえ〜!」
そう言えば音也もこの部屋に居たんですね。なまえが余りにも謎な行動をとるのでソレばかりが気になって完全に忘れていました。
音也はなまえに擦り寄ると何故か急に甘えだします。
「ねぇねぇ〜。」
「音也は駄目!」
「ナニソレ!?酷いよなまえ!」
「音也の誕生日が来たら優しくしたげるよ。」
「なるほど。ってか俺もう終わっちゃったよ〜!」
「・・・は?」
「どうしたのトキヤ?」
「え、いや・・・。」
なるほど。すべての謎が分かりました。要するになまえの優しさの原因は私の誕生日だったからと言うわけですね。何でしょうこの気持ち。嬉しいような・・・悲しいような・・・。
「あ、そうそうコレ!」
なまえの鞄の中から取り出されたのは、リボンでラッピングされ包装紙に包まれた箱。音也はソレを見て、何を思い出したのか急いで自分の鞄から同じようにラッピングされている箱を持ってきました。
「せーの!」
「「トキヤ、誕生日おめでとう!」」
「・・・・・・。」
「あれ、トキヤ・・・?もしかしてこう言うの迷惑だった?」
「い・・・いえ・・・。ありがとうございます・・・。」
私が迷惑に思ったんじゃ無いかと心配そうにしていたなまえに微笑みながらそう言うと、なまえも音也も嬉しそうに笑った。
―――誕生日と言うのは、意外と悪くないものですね。
FIN.
――――――――――
個人的に納得していないお話。前日に急いで書いたから仕方が無いのだ。
トキヤは変態かつ変人がいi―――